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ガルバリウム鋼板外壁を使ったかっこいい住宅建築のポイント

公開日:2025/06/23(月) 更新日:2025/06/23(月) 家づくりのこと

ガルバリウム鋼板外壁を使うと、「倉庫っぽい」や「工場っぽい」といった印象を持たれることが多いです。しかし、実際にはこの素材は非常に柔軟で、建物の形状やデザインによって、まったく異なる印象を与えることができます。ガルバリウム鋼板は、無骨でシンプルな印象を持ちながらも、その素材感を活かすことで、洗練されたデザインにも、温かみのあるナチュラルなスタイルにも仕上げることが可能です。

このように、ガルバリウム鋼板は「実用的」「シンプル」「無骨」といった印象が強くなりがちですが、建物の形状や他の素材との組み合わせによって、そのイメージを大きく変えることができます。どんな住宅にもフィットし、むしろ独特の味わいを加えることができる素材であるため、奥様やご主人に納得してもらえるような魅力的な提案が可能です。

このコラムでは、ガルバリウム鋼板外壁を使った住宅のデザインの幅広さをお伝えし、どのように魅力的な住宅を作り上げるかを詳しく解説します。

デザインする時に、犬の目、鳥の目という事を意識します。犬の目は近くで見た感じです。そうするとガルバニウム鋼板は好き嫌いがはっきりつきやすい材料です。鳥の目は遠くから全体の視点になると、窓やドア、お庭と合わせると、美しいものは美しいので、意外と良いなって思っていただける気がします。

どうして、カスケの家がガルバニウム鋼板を好むかというと、植木や車、人などと合わせた時に美しい事はもちろんですが、耐久性、構造にやさしい、壁体内結露の予防にもつながるからです。デザイン的には他にも良いものはたくさんありますが、カスケの家の断熱材や他材料の組み合わせ的に、ベストな材料は、ガルバニウム鋼板です。

Contents

  1. ガルバリウム鋼板外壁とは

  2. ガルバリウム鋼板外壁のメリット・デメリット

    • ガルバリウム鋼板外壁のメリット

    • ガルバリウム鋼板外壁のデメリット

  3. かっこいい住宅デザインの具体例

    • 和っぽいデザイン

    • モダンキューブ状のデザイン01

    • モダンキューブ状のデザイン02

    • モダンキューブ状のデザイン03
    • 夜のガルバリウム鋼板のデザイン
  4. 施工時のポイントと注意点

    • 適切な施工業者の選び方

    • 施工中の注意点

  5. ガルバリウム鋼板外壁のメンテナンス方法

    • 定期的な洗浄

    • 塗装メンテナンスの重要性

    • 劣化時の対応方法

  6. まとめ

 

ガルバリウム鋼板外壁とは

ガルバリウム鋼板は、鋼板の表面にアルミニウムと亜鉛を含む合金をコーティングした素材で、非常に高い耐久性と耐候性を誇ります。この特殊なコーティングによって、従来の鋼板よりも錆びにくく、長期間にわたって美しい状態を維持できます。そのため、メンテナンスが少なく、長寿命の外壁を提供することができます。

また、ガルバリウム鋼板は軽量で強度があり、建物の構造に負担をかけず、耐震性を高めることにも寄与します。さらに、金属の質感が生かせるデザイン性が特徴で、シンプルで洗練された外観を持ちながらも、他の素材との組み合わせで多彩な表現が可能です。

このように、ガルバリウム鋼板は、外観だけでなく、機能性や耐久性においても非常に優れた素材であるため、住宅建築において広く使用されています。

ガルバリウム鋼板外壁のメリット・デメリット

ガルバリウム鋼板外壁のメリット

  1. 高い耐久性
    ガルバリウム鋼板は、非常に耐久性が高く、風雨や紫外線に強いです。特に錆びにくく、長期間使用しても劣化しにくいため、メンテナンスの手間が少なくて済みます。外壁の長寿命が期待でき、維持コストを抑えることができます。

  2. 軽量で強度が高い
    他の外壁材と比較してもガルバリウム鋼板は軽量ですが、非常に高い強度を持っています。これにより、建物にかかる負担が少なく、耐震性を向上させることができます。特に地震が多い地域では大きな安心材料となります。

  3. デザインの柔軟性
    ガルバリウム鋼板は、色や形状のバリエーションが豊富で、現代的でシャープな印象を与えることができます。金属的な質感は、モダンでシンプルなデザインに最適で、和風から洋風まで多様な建築スタイルに対応します。素材としての可能性が広く、自由なデザインが可能です。

  4. 熱伝導性
    金属であるため、外壁の温度が上がると、通気層内の温度も上昇します。これにより、夏型の結露が壁体内で発生した場合、通気層内の乾いた空気が水蒸気を吸収し、壁内を乾燥した状態に保ちます。これにより、湿気対策がしっかりと行われ、壁の内部環境が健全に保たれます。ただし、断熱材が施されたガルバリウム鋼板(例えば金属サイディング)では、この効果が薄まることもあります。

  5. 環境への配慮
    ガルバリウム鋼板はリサイクル可能で、環境負荷が少ないという特徴があります。自然環境への影響を最小限に抑えたエコな素材としても注目されています。

ガルバリウム鋼板外壁のデメリット

  1. 傷がつきやすい
    ガルバリウム鋼板は金属素材であるため、表面が傷つきやすいという点がデメリットとして挙げられます。特に施工中や強い衝撃を受けた際に傷がつくことがあるため、施工や取り扱いには注意が必要です。

  2. 熱伝導性
    カスケの家では、断熱材をしっかり入れ、この性質を利用していますが、金属であるため、外壁に直射日光が当たると熱を吸収しやすくなり、夏場には熱がこもることがあります。これを防ぐために、適切な対策を取らないと、室内温度が上昇し、冷房効率が悪くなることがあります。

  3. 初期費用
    金属サイディングのガルバリウム鋼板は初期費用が、よく使われている窯業系サイディングに比べて高めですが、ガルバニウム鋼板そのものを加工した外壁材は、窯業系サイディングよりは安価です。初期費用を抑えたい場合には、他の素材とのバランスを考える必要があります。

かっこいい住宅デザインの具体例

ガルバリウム鋼板を使った住宅は、意外と「倉庫っぽい、」と感じるデザインの例が少ないかもしれません。でも実際、デザイン次第でガルバリウム鋼板はとても魅力的な素材に変身します。多くの方が「かっこいい」「かわいい」を感じるのは、やはり実際に目にしたものが大きいです。さらに、家の外観には移っている人や植木、車、外構なども大きな影響を与えることが多いです。例えば、パースでよく使われるテクニックですが、おしゃれな外車を入れると、それだけでおしゃれに見えます。高級車を入れると高級感が増し、逆にチープな車を入れると、かわいらしくて親しみやすい雰囲気が生まれます。こういった周りの要素が、ガルバリウム鋼板の魅力を引き立てることがあります。

そこで、実際にガルバリウム鋼板を使った素敵な家の写真を見てみてください。それがあなたのイメージにぴったりかもしれません。もし「これいいな」と感じたら、ガルバリウム鋼板を使ってみることをお勧めします。外観だけでなく、耐久性やメンテナンスの手間も少なく、長く快適に住める家を作るために、ガルバリウム鋼板は非常に優れた選択肢です。実際に素敵な写真を見て、ぜひ参考にしてみてください。

和っぽいデザイン

「和っぽい」という風にあえて表現します。白いガルバリウム鋼板と焼杉板を使ったデザインです。和の要素を取り入れる方法はいくつかありますが、一つは深い軒と屋根が見えるデザインです。軒下に和風の雰囲気が漂います。また、木材も重要な要素です。外壁材として、また軒裏に取り付ける材料として木を使うことで、和のテイストが強調されます。

さらに、この家には薪ストーブがあり、それに合わせて薪棚も設置しています。

また、施主様のお父様が大切にされていた日本庭園もあり、その背景にガルバリウム鋼板の外壁があると、意外にも和っぽい雰囲気が感じられませんか?

もちろん、THE日本家屋を目指すのであれば、ガルバリウム鋼板はNGかもしれません。しかし、周りの景色や条件を活かしながらデザインすると、こうしたアプローチも素敵だと思っていただけるのではないでしょうか。倉庫のような印象は全くないと思います。

モダンなキューブ状の形状のデザイン-01

モダンなキューブ型の形状の家では、外壁材を全て同じものにしてしまうと、どうしても単調な印象になりがちです。しかし、左下の一部をレッドシダーで仕上げることで、どっしりとしすぎることなく、バランスの良いデザインに仕上げています。

さらに、右下側にはガルバリウム鋼板と同系色の塗り壁材を使用することで、柔らかく優しい印象を与え、レッドシダーの力強さが引き立ちます。このように、異なる素材をうまく組み合わせることで、全体的に単調にならず、各素材の特長が生きたデザインが実現できます。

上半分は凄く力強くてかっこいいです。

下半分は優しいですよね。

ガルバリウム鋼板を使用しつつも、力強い男性的な印象を避け、女性らしさも残すことで、バランスの良い、魅力的な家が完成していると思います。

モダンなキューブ上の形状のデザイン - 02

こちらのお家も、前述の形状に似たモダンなキューブ型のデザインです。黒のガルバリウム鋼板を使用し、下部分には焼杉を取り入れています。ピアノのような深みのあるブラックが美しく、シンプルでありながらも洗練された印象を与えます。対角に配置された窓ガラスがアクセントとなり、全体のデザインに独特の動きとリズムを生んでいます。

そのデザインの中に少し可愛らしさも感じられます。それは、切妻屋根の形状がその理由です。この屋根がもたらす印象が、モダンでありながらも柔らかい雰囲気を与えています。素材や形状がモダンの枠に収まる一方で、色使いが非常にかっこよく、洗練されています。

モダンなキューブ上の形状のデザイン - 03

こちらのお家は、フラットサイディングとガルバリウム鋼板を組み合わせたデザインです。あえて同系色のサイディングとガルバリウム鋼板を使用することで、テクスチャーの違いを楽しむことができます。これにより、シンプルでありながらも、視覚的な奥行きと動きが生まれます。

手前の右下にある平屋部分の箱がガルバリウム鋼板で仕上げられており、その光り方が他の部分と異なります。ガルバリウム鋼板の金属的な質感が、周りの柔らかな質感とコントラストを生み、全体のデザインにアクセントを加えています。

夜のガルバリウム鋼板のデザイン

こちらはシルバーのガルバリウム鋼板を使用したお家です。

私の家もシルバーのガルバリウム鋼板を使っているのですが、帰宅するとこんな風に見える日があります。星空と家の中の明かりが美しくマッチし、夜の風景が本当に素敵です。ガルバリウム鋼板のシルバーは、光の加減や周囲の自然と調和し、夜のシーンを一層魅力的に演出します。静かな夜空と家の灯りが、まるで一つのアートのように融合して、幻想的な美しさを感じさせてくれます。凹凸のある材料の陰影って本当に奇麗です。

施工時のポイントと注意点

ガルバリウム鋼板を使用した住宅の施工にはいくつかの重要なポイントがあります。これらを押さえることで、長期間にわたり美しい外観を維持し、建物の性能を最大限に引き出すことができます。

1. 適切な施工業者の選び方

ガルバリウム鋼板の施工には、特別な技術や知識が求められます。経験豊富な施工業者を選ぶことが、仕上がりに大きな影響を与えます。特に、鋼板を切断したり、接続したりする際に注意が必要で、精度の高い作業が求められます。また、施工業者がガルバリウム鋼板の特性をよく理解していることが大切です。

2. 施工中の注意点

  • 傷に注意: ガルバリウム鋼板は金属素材であるため、施工中に傷がつかないように注意が必要です。特に、鋼板同士が接触する部分や工具の使用には十分に気をつけましょう。

  • 通気層の確保: 金属サイディングのガルバリウム鋼板の外壁を設置する際には、通気層を確保することが重要です。通気層がないと、湿気がこもりやすくなり、壁内で結露が発生する可能性があります。これを防ぐためには、しっかりとした通気層を設けることが必要です。板材のみを凹凸に形成した材料は、割と大丈夫です。写真のように凹凸があると、凸側から空気が流れます。

3. 取り付け位置と方向

ガルバリウム鋼板の取り付け位置や方向も、外観に大きな影響を与えます。素材が持つ質感や光沢を生かすためには、適切な角度や配置で施工することが求められます。特に光の反射や影のつき方が変わるため、細部まで慎重に検討する必要があります。

ガルバリウム鋼板外壁のメンテナンス方法

ガルバリウム鋼板外壁は、耐久性が高く、メンテナンスが少なくて済む素材ですが、長期的に美しい状態を保つためには定期的なケアが必要です。以下のポイントを押さえておくことで、外壁を長持ちさせることができます。

1. 定期的な洗浄

ガルバリウム鋼板の外壁は、汚れやほこりが溜まった場合は、定期的に水で洗い流すことをお勧めします。汚れがひどくない場合は、水と柔らかいスポンジで軽く洗うだけで十分です。強い洗剤や硬いブラシは傷をつける可能性があるので、使用しないようにしましょう。

2. 塗装メンテナンスの重要性

ガルバリウム鋼板には表面の塗装が施されていますが、経年劣化により塗装が薄くなることがあります。定期的に塗装の状態をチェックし、必要に応じて再塗装を行うことで、長期間美しい外観を保つことができます。

3. 劣化時の対応方法

万が一、ガルバリウム鋼板に傷やサビが見られる場合は、早めに補修を行いましょう。小さな傷やサビであれば、簡単に補修できますので、放置せずに対処することをお勧めします。

まとめ

一番最初に添付したガルバリウム鋼板外壁の家を、AIで加工して塗り壁にしてもらいましたが、全然問題ないと思います。ある程度型が取れていれば、どちらもかっこいいですし、微妙な好みの問題かもしれません。しかし、最終的にどちらを選ぶかという点では、私は性能が判断材料になります。

ガルバリウム鋼板には、夏の壁体内結露を防ぐ機能があり、軽いため耐震性が良いというメリットがあります。さらに、雨漏りしにくく、汚れにも強いという点で非常に優れた素材です。外壁でのシェアはそこまで高くありませんが、屋根材としては非常に高いシェアを誇っており、雨漏りに対する信頼性が高いことも魅力的です。

見た目がどうしても気になる方もいるかもしれませんが、私は緑や人々、その時々の好きな車を背景にした家を作りたいと考えています。そのため、シンプルな材料であるガルバリウム鋼板が好きです。もちろん、塗り壁も見た目は素晴らしいと思いますが、性能を重視する私はガルバリウム鋼板を非常に魅力的に感じています。

一般的には、塗り壁が無難で、嫌いな方が少ないので人気があるのは確かです。しかし、それだけの理由で決めたくはありません。人が言うからとか、よく見るからという理由では選びたくないのです。このコラムを見ていただける方は、多くはないかもしれませんが、少しでも多くの方に正しい知識を持って判断していただければと思います。決して他の材料が全くダメだとは思っていません。良し悪しあります。でも全くダメな材料も私の中ではありますよ。

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