省エネ性能が注目されるようになり、色々な水準があり、我々でもややこしいと感じております。ZEH(ゼッチ)というのも省エネ性が高い住宅の基準として言われることが多々あると思います。それから『こどもエコすまい支援事業』などの補助金の基準として、ZEHが基準になっています。ZEHとは、ゼロ・エネルギー・ハウスの略称であり、一年を通じて住宅の自己消費するエネルギーの量が、自己で発電する再生可能エネルギーに見合うレベルまで削減された住宅を指します。つまり、ZEHの住宅は、年間を通じてほぼゼロのエネルギーコストで快適な住環境を提供できるということ。注意点として、エネルギーが差し引きゼロです。光熱費の差がゼロではないです。現状、買電より売電の方が安いです。今回の記事では、「ZEH水準の省エネ住宅」と「ZEH住宅」の違いを解説いたします。また、倉敷でおすすめの省エネ住宅の仕様についても触れていきます。
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ZEH水準とは何か
『ZEH水準』という言葉は普通にありそうな言葉ですね。ここで定義付けるのは国交省が省エネの目標に使用している『ZEH水準』という言葉です。
『2030年には ZEH水準の省エネ住宅が 新築の標準に』という目標がございます。元は『ZEH水準』ではなく『ZEH』でしたが、達成が難しそうなので『ZEH水準』に代わりました。そういった背景から、このような言葉が出来たので、『ZEH』の水準という事になってません。ある程度、御幣を覚悟し分かりやすく説明しますと、『ZEH』と違い太陽光発電システムを載せなくてもいいのが『ZEH水準』です。ややこしいですね、
ZEHとは異なる点
ZEHとは一体何でしょうか? 私は、前職で300棟は省エネ計算をしてきました。感覚的に6地域のZEH水準は今の新築住宅では最低限で、出来ていて当たり前です。具体的に見ていきましょう。ホームズ君というソフトに入っている仕様を参考にZEHの外皮性能をまとめてみます。
断熱地域は6地域で考えます。
・UA値≦0.6
断熱性能を表します。低い方が良いです。カスケホームは0.46以下の物件がほとんどです。
天井:グラスウール210㎜
壁:高性能グラスウール105㎜
床:押出法ポリスチレンフォーム75㎜
窓:樹脂窓
これで、UA値0.6です。樹脂窓がアルミ樹脂複合窓になっても大丈夫です。恐らく、これより多少低い性能の部材を使ってもクリアできます。
・ηAc値≦2.8
冷房期に窓から入ってくる熱の影響を数値化したものです。低い方が良いです。
計算でこれがクリアできずに悩んだことは、私は1度もないです。
基準は甘いですが大事な事です。軒や庇で窓からの日射を防げば室温は全然変わります。
ηAh値という評価もあります。暖房機の日射熱を評価しこれは数値が高い方が良いです。
・高性能設備の評価
給湯設備は、エコキュートかエコジョーズ以上のものを選びましょう。照明はLEDで、これだけで他は評価しなくてもクリアできる物件がほとんどです。
他に評価するのは、暖冷房設備、換気扇、水栓です。この辺りを細かく評価すれば、評価が高くなります。
・太陽光発電設備、コージェネレーション設備
太陽光発電設備、コージェネレーション設備です。これらで発電したエネルギーも評価します。断熱性や高性能な省エネ設備で、エネルギーを減らし、発電したエネルギーが超えれば、ZEH(net Zero Energy House)です。発電が足りない、発電してないけど、断熱性と一定のエネルギーを押さえられていればZEH水準です。
ZEHというのは太陽光発電システム等がついている必要があるので、ハードルが少し高いのですが、断熱性能でいくとそうでもないです。このピラミッドの一番上の断熱性能のG3を持っていても、太陽光発電等を搭載していなければZEHにはなりません。G3で太陽光発電を載せたZEHも最低限UA値0.6のZEHも、ZEHはZEHとなってしまいます。
エネルギー消費を抑える仕組み
エネルギー消費を抑える仕組みは、ZEH水準を満たす住宅において重要なポイントです。まずは、断熱性能の向上が挙げられます。適切な断熱材の使用や窓・ドアの断熱性能の改善により、室内の温度を安定させることができます。これによって、冷暖房設備の使用頻度を減らし、エネルギー消費を抑えることが可能となります。次に、高効率な機器の導入が重要です。冷暖房設備や給湯設備など、住宅内で使用する機器のエネルギー効率を向上させることで、同じ快適度を維持しながらエネルギー消費量を低減できます。さらに、建物全体の省エネ設計も必要です。日射を有効活用した設計や自然換気システムの導入など、建築時からエネルギー消費を最小限に抑える工夫が求められます。これらの工夫が組み合わさることで、ZEH水準を満たす住宅は、快適な暮らしを提供しつつエネルギー消費を抑えることが可能となります。
ZEH水準の省エネ住宅のメリット
ZEH水準の省エネ住宅には、数多くのメリットがあります。まず第一に、光熱費の削減が挙げられます。一年中のエネルギー消費が少ないため、光熱費の支出が大幅に削減され、家計にとって大きな節約となります。さらに、地球環境への貢献も大きなポイントであり、温室効果ガスの排出を抑えることができます。次に、快適な居住環境が得られる点も重要です。高性能な断熱材や気密性の向上により、外気温の影響を受けにくく、一年中快適な室内環境を維持することができます。さらに、再生可能エネルギーの活用により、エネルギーの自給自足が可能となり、停電時にも安心して生活できる点も大きなメリットと言えます。ZEH水準の省エネ住宅は、快適さ、経済性、環境への配慮など、様々な面でメリットがあります。
光熱費の削減
ZEHやZEH水準等、高性能な住宅を目指せば、確実に光熱費は下がります。無断熱の家や、低断熱の家と比べると大分下がります。
ただし、ガスや電気料金の高騰により0円で住む家という事は難しいです。ZEHとはゼロエネルギーハウスです。エネルギーがプラスマイナスで0です。
0円のランニングコストで住める家ではありません。買うエネルギーが高くて、売るエネルギーが安くなったら、
【使ったエネルギー】―【作ったエネルギー】=0エネルギー でも
【買ったエネルギー】―【売ったエネルギー】=0円 ではありませんよね。
この勘違い、結構あります。中途半端に説明すると間違えます。
快適な住環境
ZEH水準に限らず、断熱材がしっかり入った家は快適です。エアコンの効きがよく、室内の気温が外の気温に影響されないので、エアコンがフルパワーで動く回数が減り、直風を受ける回数が減るので、快適です。ZEH水準は断熱性能で行くと等級5です。等級7は厳しいのですが、等級6あたりまでは、プランの工夫と少しのグレードアップで、可能ですので、コスパが良いのはZEH水準より一つ上の断熱性能です。
高い遮音性
断熱性を高めることで、遮音性も上がります。多孔質な材料は音を吸音することに役たちますし、隙間を埋める事は熱の入ってくる隙間も埋めますし、音が入ってくる隙間も同時に埋めることになるのです。副産物的ではありますが、断熱性をあげることは遮音性をあげる事にもなります。
メンテナンス頻度の低減
ZEH水準の省エネ住宅では、高性能な断熱材や気密性の向上など、建材や設備の質が非常に高くなっています。そのため、一般的な住宅に比べて、メンテナンス頻度が低減されるという利点があります。例えば、優れた断熱材の採用により、冷暖房機器の稼働が抑えられるため、その稼働部分の摩耗が少なくなり、メンテナンスの必要が減るのです。また、高性能な窓やドアによって、雨風の浸入を防ぐため、建具の劣化が遅れ、塗装の塗り替えや補修の頻度が低減します。このように、省エネ住宅はその高性能から、建材や設備の劣化も抑えられ、メンテナンス頻度が低減されます。このことは、メンテナンスコストや手間の削減につながるだけでなく、住宅の設備の寿命を延ばす効果も期待できます。そのため、忙しい現代人にとっても手間をかけずに住宅を維持することができ、快適な暮らしをサポートしてくれるのです。
ZEH水準の省エネ住宅のデメリット
ZEH水準の省エネ住宅は環境に配慮したエネルギー効率の高い住宅ですが、その一方でいくつかのデメリットも考えられます。
まず1つ目のデメリットは初期投資が高いことです。断熱性能の向上や再生可能エネルギーの導入など、ZEH水準を満たすためには高度な技術や設備が必要となり、そのための費用もそれに比例して高額になります。
2つ目のデメリットとして、一般的な住宅よりもメンテナンスの難しさが挙げられます。新しい技術や設備の導入により、専門的な知識が必要となることや、一般的な修理業者では対応しづらいことがあります。
さらに、3つ目として、地域環境によっては再生可能エネルギーの取得が難しい場合もあります。屋根の面積や日照条件など、建物自体の条件や地域の環境に左右されるため、全ての住宅が同じようにZEH水準を達成することは容易ではありません。
これらのデメリットを考慮しつつ、ZEH水準の省エネ住宅を検討する際には、慎重な計画と専門家のアドバイスを受けることが重要です。
初期費用の高さ
初期費用の高さについて 一般的な考えを紹介します。
ZEH水準の省エネ住宅を検討する際に気になるのが、その初期費用の高さです。ZEH水準を満たすためには、高度な断熱材や再生可能エネルギー設備など、一般的な住宅よりも高度な技術や設備が必要となります。
そのため、通常の住宅に比べて建築費用が高額になることが考えられます。
コストパフォーマンスが大事です。
適切な業者の選定
ZEH水準の省エネ住宅を建設する際には、適切な業者の選定が重要です。まずは、実績があり信頼できる業者を選ぶことが大切です。
また、ZEH水準の省エネ住宅の建設には高度な技術が必要となるため、専門的な知識を有する業者を選ぶことも重要です。省エネルギー技術や再生可能エネルギーの導入に関する豊富な経験を持つ業者であれば、より効果的な建設が期待できます。
さらに、コミュニケーション能力や提案力が高い業者を選ぶことも一つのポイントです。家族のライフスタイルや予算に合わせた適切な提案を行い、円滑なコミュニケーションを図れる業者を選ぶことで、理想の住宅を実現しやすくなります。
これらのポイントを踏まえ、丁寧なリサーチや面談を通じて、信頼できる業者を選定することがZEH水準の省エネ住宅を建設する上で大切なステップとなります。
ZEH水準を満たす省エネ住宅の設計ポイント
ZEH水準を満たす省エネ住宅の設計ポイントには、いくつか重要な要素があります。まず、断熱性能の向上が欠かせません。外気を遮断し、室内の熱を逃がさない工夫が必要です。次に、高効率なエネルギー機器の導入が必要です。暖房や給湯、冷房などの運転効率が良い機器を選ぶことが大切です。さらに、再生可能エネルギーの活用も重要です。太陽光発電システムの設置や地中熱利用など、自家発電や自家消費を実現するための手法が求められます。また、窓や玄関ドアの断熱性能向上や断熱材の適切な選定もポイントとなります。さらに、住宅の外皮性能や風の流れを利用した通風システム、外部の日射を有効利用する遮熱デバイスなど、総合的な設計アプローチが求められます。ZEH水準を満たす省エネ住宅の設計にはこれらのポイントをふまえ、総合的な取り組みが必要です。
断熱性能の向上
断熱性能の向上とは、住宅全体の断熱性を高める取り組みを指します。住宅の外壁、屋根、床などの断熱材を適切に設置し、熱の出入りを抑制します。これにより、冷暖房の効率が向上し、室内の温度を一定に保つことができます。
また、断熱性能の向上には、断熱材の適切な選定が欠かせません。断熱材の種類や厚さ、施工方法などを検討し、建材や設備との組み合わせによって適切な環境を作り出します。さらに、窓や玄関ドアなどの開口部も断熱性能を考慮して選定することが重要です。
これらの取り組みにより、冷暖房効果が向上し、快適な室内環境が実現できます。断熱性能の向上は省エネ効果だけでなく、居住者の快適性も向上させる重要なポイントです。
エネルギー消費の最適化
エネルギー消費の最適化は、ZEH水準の省エネ住宅において重要な要素です。まずは、断熱性能の向上が必要です。外気の侵入を防ぎ、室内の熱を逃がさないようにするために、高性能な断熱材を用いたり、断熱性能の高い窓を採用したりすることが重要です。また、高効率なエネルギー機器の選定もエネルギー消費の最適化に不可欠です。暖房機器や給湯機器、冷房機器など、運転効率の良い機器を選ぶことで、無駄なエネルギー消費を抑えることができます。
さらに、再生可能エネルギーの導入も重要なポイントです。太陽光発電システムや地中熱ヒートポンプなど、自家発電・自家消費を実現する再生可能エネルギーシステムの導入によって、住宅のエネルギー収支を改善することが可能です。
また、住宅の外皮性能や風の流れを利用した通風システム、遮熱デバイスなど、住宅全体のエネルギー消費を最適化するための設計が求められます。これらの取り組みを総合的に行うことで、ZEH水準の省エネ住宅が実現可能となります。
再生可能エネルギーの利用
再生可能エネルギーの利用には、太陽光発電システムの設置が一般的です。屋根や庭などに太陽光パネルを設け、太陽光を電力に変換する仕組みです。このシステムを利用することで、自家発電した電力を利用することができます。朝や晴れた日などに発電された余剰電力は蓄電池に貯められ、夜間や曇りの日などに利用されます。また、地中熱利用も再生可能エネルギーの一つで、地中の熱を利用して暖房や給湯を行うシステムです。地中熱の安定した温度を利用することで、エネルギーの効率的な利用が可能となります。 このように、再生可能エネルギーの利用は、ZEH水準を満たす省エネ住宅設計において重要な要素となっています。自家発電した電力の活用や地中熱の利用は、住宅のエネルギー自給自足に向けた取り組みとして、ますます注目されています。
ZEH水準住宅の導入事例
ZEH水準を満たす住宅の導入が進む中、日本各地で様々な事例が報告されています。まず、新築住宅では、太陽光パネルを活用し、高性能断熱材を採用することで、ZEH水準の住宅が建設されています。また、既存住宅のリフォームにおいても、断熱材の追加や高効率のエネルギー機器への更新など、さまざまな工事を行うことでZEH水準に近づける取り組みが行われています。このような住宅には、省エネだけでなく、快適な室内環境が提供されることが魅力であり、導入事例が増えることでその効果が広く知られることが期待されます。
地域ごとに異なる気候風土や住宅ニーズに合わせたZEH水準住宅の導入事例も多く見受けられます。雪国や暑い地域など、それぞれの環境に合わせた工夫がされており、これらの事例は他地域への展開や新たな取り組みにも影響を与えています。ZEH水準住宅の導入事例は、地域社会や住宅業界においても大きな関心を集めつつあり、その普及に向けた取り組みが進んでいます。
成功事例1: 具体的な住宅モデル
ZEH水準の成功事例として、具体的な住宅モデルが多数報告されています。例えば、高性能断熱材や省エネ性能の高い窓を採用することで、冷暖房負荷を大幅に削減した住宅があります。さらに、太陽光発電パネルを屋根に設置し、余った電力を貯めるための蓄電池の利用など、再生可能エネルギーの積極的な活用が行われています。
このような住宅モデルでは、一年を通じて安定した室内温度が確保され、住民の快適性が向上しています。また、節電効果によりエネルギーコストが大幅に削減され、環境への貢献やランニングコストの削減にもつながっています。こうした成功事例は、住宅の省エネルギー化において非常に示唆に富んでおり、今後のZEH水準住宅の展開に大きな影響を与えることが期待されています。
成功事例2: 実際の居住者インタビュー
さて、今回、Nさんに聞いてみました。
――ZEH水準の住宅に住むことで、光熱費の節約にどのくらい貢献していますか?
電気代は、エアコンをずーっとつけてる割には安いのかな。
――室内の快適性や温度管理について、普通の住宅と比べてどのような違いを感じていますか?
暖冷房ともにフルパワーで回っていることが少ないので、直風の嫌な感じがなくて快適です。
――家族の健康や快適さについて、ZEH水準の住宅での生活がどのように影響を与えていますか?
保育園のこどもがいるのですが、風邪をあまり、ひかなくなった。それと、朝起きるのが楽です。
冬寒くて、布団から出たくないというのが無いです。夏も寝苦しくて起きることもないです。
補助金や優遇制度の活用法
省エネルギー住宅を導入する際には、補助金や優遇制度を上手に活用することが重要です。まず、国や地方自治体が提供する補助金や助成金を活用することで、導入コストを抑えることができます。さらに、住宅ローン減税や固定資産税の軽減措置など、税制面でも優遇される制度があります。これらの制度をうまく活用することで、省エネルギー住宅を手に入れることができるでしょう。
一方で、補助金や優遇制度の活用には条件や手続きがあります。各制度の詳細や申請方法を把握し、効果的に活用するための情報収集が重要です。専門家のアドバイスを受けることも有効であり、地域の住宅展示場やセミナーなどで情報収集を行うことをおすすめします。
まとめ
弊社はZEH水準は少し物足りなく感じています。過剰な性能で費用をかけすぎる家もあまり良いとは思ってません。ちょうど良いくらいが良いです。家は何のために建てるのか、弊社は暮らし方を豊かにするためかなと考えています。暖かくて涼しくて、緑が見えて…というので十分です。光熱費は安い方がもちろん良いです。それを1円単位で計算してこっちが得とかは行き過ぎです。細かく節約すると寂しくなります、豊かじゃないです。弊社は普通にやって、ZEH水準より、良い性能の家です。ちょうど良いと思う方が多い家だと思います。