カスケの性能向上リノベ『再築』担当の山田です。
高性能住宅では断熱材にこだわっている会社さんも多く、
一般の方にも注目を集めるようになりました。
高性能でありながらコストダウンするためボード系断熱材を柱間へ充填するなど、
メーカー各社で違いはありますが、多くみられる工法です。
新築では長期優良住宅は壁体内結露を防ぐために防湿層を設けなければいけませんが、
防湿層を無しとする場合は、防露計算で確かめることになります。
しかしこの防露計算もアメダスの20年くらい前の平均気温湿度を基に計算するため、
数値はザックリで現在の気候とは合っていません。
それでも、防湿層しなくても良ければコストダウンでラッキーと思われる方も多いです。
それで実際はというと、季節のピーク時でリアルに考えるとやはり結露は起きるわけで、
壁体内の材料には透湿抵抗という数値が存在します。
湿気が透過しにくい材料であれば結露の可能性は低くなりますが、
柱などの木材は湿気は透過します。これを『透湿』と言います。
屋内は暖房していてその空気は多くの水蒸気を含んでいます。
水蒸気は乾燥側に移動しますので、必然的に透湿する材料を通って屋外へと出ていきます。
壁体内の冷たい場所に辿り着くと水蒸気が冷やされ結露していきます。
木材の中身であったとしても結露し水という液体になり、材料に浸透します。
このようにして躯体は腐っていきます。
木質繊維系断熱材は自然素材ということで謳っていますが、
吸放湿を繰り返すことで成分の劣化が進み、いずれは炭化し分子結合はパラパラに分解します。
(昔の畳下に敷いてある新聞紙が赤っぽく汚れていて触ったら粉々になっているあの現象ですね)
現場発泡ウレタン系は断熱内部で一度結露すると吸水してしまい、周辺温度も低い場合は2ヶ月経っても乾燥しません。
この期間は、含水率が高いということになり断熱性能が落ちます。
こうなることでさらに結露しやすい状況になり、日常的に水分を含んだ状態になるといずれ加水分解を起こします。
(加水分解:ウレタンの組成分子が水分によって酸とアルコールに分解されてしまう劣化現象)
強力な断熱材でも透湿はします。
木材にも断熱材にも透湿抵抗値があり、透湿しやすいことが数値でわかります。
数値が大きいほど透湿しにくいです。
防湿層は壁断熱材や木材への透湿を防ぐので壁体内を結露させない確実な方法です。
尚且つ防湿シートは高気密施工の省力化も可能です。
ついでにいうと防湿シートによって屋内の加湿や除湿が効きやすくなります。
当然ですね。
そう考えますと最も効果的でコスパ良い方法といえます。
カスケホームの標準仕様です。
性能向上リノベーション『再築』担当 山田真司
設計営業 山田真司
二級建築士
古民家鑑定士1級
伝統再築士
既存住宅状況調査技術者
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