安藤 辰 自己紹介へ

高気密・高断熱・高耐久な住まい。快適で長持ちする家づくりとは

2022/07/07(木) 家づくりのこと

contents

1. カスケの家の断熱工法

2. 本当に「高気密・高断熱住宅」?気密測定をしているか?

3. 高気密・高断熱住宅に必要な施工とは?

 3-1 窓の断熱工事

 3-2 床・壁・天井の断熱工事

4. 高気密・高断熱の住宅にするメリットとは?

 4-1 ヒートショックの心配がない

 4-2 冷暖房費を削減

 4-3 防音性・遮音性が高い

 4-4住宅が長持ち(長寿命)

5. 高気密・高断熱の住宅にするデメリットとは?

 5-1 丁寧な施工をする分、建築コストが(少し)高い

 5-1 24時間換気を行う必要がある

 5-1 内部結露を起さないために気流止めを行う必要がある

6. 高気密高断熱住宅でよくある失敗・後悔事例3選

 6-1 断熱性を重視して窓が小さすぎる

 6-1 性能にこだわりすぎてオーバースペックになる

 6-1 生活動線が悪くなるような間取り設計になっている

7. まとめ

 

 

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
株式会社カスケホームの安藤です。

皆さん、この写真なんだかわかりますか?
断熱材の上に、防湿・気密シートを貼っているんです。しかも黄色で目立ちます(他にも透明やピンク色もあります)。

カスケの家はこの仕様です。べーパーバリア層と言います。

べーパー(VAPOR)は湿気、バリアは防ぐ。つまり湿気を防ぐ層を室内側に設けることなのです。

それに加えて、気密性を高める効果もあり、室内からの熱の流失を防ぎ、より計画的な換気を行えるようにします。

写真で見ると、なんだそれだけのことか、とお感じになるかもしれません。実際は、この施工はとても手間がかかります。

一般的には、下の写真のように袋に入ったグラスウールをホッチキスのようなもので止めていき、ボードを貼って仕上げます。

当然、この状態でも防湿、気密効果はある程度見込めます。しかし、部分的なものをつなぎ合わる作業には限界もあります。

室内で大量に発生する湿気が壁内に入り込み、壁内で結露するとシロアリを呼び寄せたり、腐朽菌発生の原因になり、家の耐久性を損ないかねません。

何もこの施工方法が悪いと言っているのではありません。多くのハウスメーカーさんもこのような断熱施工をとっています。

正確な数字はわかりませんが、80%以上はこの断熱、気密施工なのではないでしょうか(憶測です)

カスケの家は、快適で長持ちする家づくりを心掛けております。

多くのリフォームを手掛けている弊社では、リフォーム前の解体で結露によって朽ちてしまっている木造住宅を多数見てきました。

特に、高断熱住宅で充分な防湿ができていない場合、危険性は高まります。

家は見えない部分が大切です。その一つに、べーパーバリア、防湿気密層があるのです。

 

カスケの家の断熱工法

詳しくは現場レポートでご覧いただきたいのですが、弊社の断熱、気密工法は以下の2つの写真でご理解いただけます。

①高性能の断熱材を欠損なく丁寧に充填する

②連続した防湿、気密層を形成し、貫通部分、隙間部分は丁寧に塞ぐ処理をする

※最近は、現場発泡ウレタン断熱が流行しています。断熱材としては高性能ですし、気密もとりやすい思いますが、防湿の効果では「?」がつきます。

隙間なく、高性能グラスウールを充填します。欠損がないように丁寧に。大工さんの腕が試されます。

防湿・気密シートを貼ります。コンセント廻り、貫通部分、サッシ枠など漏気の原因になる部分も専用部材と気密テープで丁寧に処理します。

 

本当に「高気密・高断熱住宅」?気密測定をしているか?

高気密高断熱住宅には、様々なメリットがあります。ネットで検索すればたくさんの記事が出てきますし、全てその通りだと思います。

私も高気密高断熱住宅を建てて、暮らしていますが、とても快適ですし、エアコンがよく効きます!

以前の家は無断熱でとにかく暑くて寒くて。。

ここで覚えておいていただきたいのは、高気密高断熱にはレベルがあり、数値化できるということです。

 「高気密高断熱住宅」をうたわないハウスメーカーや工務店は今やほとんどありませんが、実際に計算し、測定している会社は少数派です。

●高断熱は、Ua値(外皮平均熱貫流率)で1棟ごとに「計算」することができます。高断熱かどうかの基準は、Ua値0.46以下です。

●高気密は、C値(隙間相当面積)で1棟ごとに「測定」することができます。高気密かどうかの基準は、C値0.5以下です。

 ぜひ、この2つの数字を覚えていただき、建築をご検討されている会社に聞いてみてください。

性能を重視ている会社はすぐに答えが返ってくると思います。

 

高気密・高断熱住宅に必要な施工とは?

窓の断熱工事

さて、では岡山で高気密、高断熱の家といえるためにはどんな施工をすればいいのでしょうか。窓、床、天井、壁で分けて考えてみましょう。

窓は冬は家の中の熱の約60%が出ていく、断熱では最大の弱点と言えます。なので高断熱の窓サッシを採用しましょう。

 

YKKap APW330

YKKAPさんで言えば、APW330です。オール樹脂でLow-Eペアガラスでアルゴンガスが入ってる商品です。岡山南部ではこの性能がコスパ最適です。アルミサッシは壁体内結露の原因になり、躯体の劣化につながる可能性もあります。ハウスメーカーさんによっては、樹脂とアルミの複合サッシを採用している場合もありますが、ぜひ樹脂サッシで見積もりをお願いしてみてください。

 

床・壁・天井の断熱工事

断熱性能については、多くの方が「どんな断熱材を採用すれば、高断熱になるのか?」と考えられます。グラスウール、ロックウール、発泡ウレタン吹付、フェノールフォーム、セルロースファイバー・・・。断熱材はたくさんの種類があり、もちろんそれぞれにメリット、デメリットがあります。カスケの家では、以下のような観点から、高性能グラスウールとセルロースファイバーを推奨していますが、これは各社各様。大切なことは、その会社がどんな判断基準でどの断熱材と工法を選択しているのかを確認することです。単に、断熱材の性能数値だけを説明するだけの営業は正しい知識が不足しているかもしれません

断熱工事は、気密と換気の三位一体で考える必要があります。というのも、

断熱:建物の内と外の空気を管理すること

気密:建物の中の空気を管理すること

換気:外気と内気のやり取り

と言えます。それぞれの関係は

断熱と気密:補完関係→高い断熱性能を持っていても、家にすき間が多いとその断熱性能は実質的に下がります。

気密と換気:補完関係→家にすき間が多いと、換気をして新鮮な空気を取り入れることができません。

断熱と換気:相反関係→暖かい空気も換気をすれば逃げていきます。相反する機能をいかに両立するかという観点で換気計画をしなければなりません。

 

 

換気については、熱交換型の1種換気から各所の3種換気までレベルと価格は様々です。ただ前提として、断熱と気密がしっかり施工されていることが必要なのです。特に気密性能が低いと計画通りに換気ができていない可能性もあります。

 

よく、断熱はセーター、気密はウインドブレーカーに例えられます。極寒の冬の日に、セーターだけで外出すると寒いのは想像できるかと思います。また、ウインドブレーカーだけではさらに寒い。両方の機能を備えたダウンジャケットはどうでしょうか。しっかり体温を保ち、かつ首元や袖からの冷たい風もシャットアウトしてくれます。

高気密・高断熱の住まいとは、ダウンジャケットだと覚えてください。

高気密・高断熱は、夏が暑いのではないか?という疑問を持たれた方もいると思います。その通りですが、それは、低気密・低断熱住宅でも同じです。

冷房エアコンがしっかり効くのは、高気密・高断熱住宅なのは、最近職人さんが現場で着ている空調服を想像していただければなんとなくわかるのではないでしょうか。

空調服は、災害級の猛暑が続く夏には欠かせません。

 

高気密・高断熱の住宅にするメリットとは?

ヒートショックの心配が大幅に減る

推計によるとヒートショックによる死亡者数は、年間1万9000人と言われています。とりわけ、冬場の入浴中の死亡者数が他の季節よりも多く、温度差が引く起こすヒートショックが多いようです。

原因は家の中の温度差です。暖かい場所から、トイレやお風呂などの寒い場所へ移動すると欠陥が収縮し血圧が上がり、そのまま暖かいお風呂に入ると、血管が広がり血圧が急激に上がります。このような血圧の乱高下によって大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などが引き起こされます。

古い家は北側の室温が低くなりがちです。

このような事故を防ぐためには、まずは家を高気密・高断熱にする、つまり「家の中の温度差を少なくする」ことです。

 

冷暖房費を削減できる

原油高が続き、電気代も上がる一方ですが、家計にとって大きいのは電気代の中でも冷暖房費です。冬の暖房、夏の冷房費を少しでも抑えることができればとても助かりますよね。日本人は暑さ、寒さを我慢する習慣がありますが、酷暑の日にで我慢すると命の危険すらあります。

そこで、エアコンのよく効く家をつくることが肝心なのですが、それがまさに、高断熱かつ高気密の家なのです。

燃費計算ソフトで試算した結果を一例をあげると、

①高断熱:UA値 0.46 高気密:C値 0.3 

②標準断熱:UA値 0.87 低気密:C値 5.0

 ①②の年間冷暖房費の差額は、約34000円です。なんだそのくらいか、と感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は、家の設計の仕方によってもっと差がつきます。具体的には、きちんと軒や庇を設けて、日射を夏は遮り、冬は取り入れているか。また、隣家の影を想定して間取りを決めているかなどです。光熱費は塵積って山となるです。決して侮ってはいけません。

   冬は暖かく、夏は涼しく。

光熱費を抑えながら快適に暮らすには、高気密で高断熱の家づくりが必須です。

 

防音性・遮音性が高い

気密性の高い家は、気体の流入を防ぐ密度が高い家です。

そして、音は空気の 振動によって伝わってきます。ですので、隙間が多いと空気が通りやすくなり、音が伝わりやすくなります。

特に、サッシや玄関ドアは音が伝わりやすい部分ですので、気密性の高いサッシを選ぶ必要があります。

交通量の多い道路に面した住宅は車の音が気にならないように、気密性の高い住宅をつくるべきですね。

 

住宅が長持ち(長寿命)

家の購入を検討している方が重視していることのトップは、「長持ちする(耐久性が高い」とする調査結果が多くあります。

最初は素敵な家でも、経年劣化で頻繁に修理やリフォームが必要になるのは誰しも嫌ですよね。

でも、高気密・高断熱と家の耐久性がどう関係しているのでしょうか? それは目に見えない部分である壁の中のことです。

「内部結露」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。画像検索するとこんなのがたくさん出てきます。

カスケホームは多くのリフォームを手掛けていますので、解体したらこんな状態になった家をよく見かけます。

 これは、壁の中に水蒸気が侵入し、内外の温度差によって露点に達して、結露して断熱材に入り込んでしまいます。

この内部結露は、冬にも夏にも発生する、じわじわと家にダメージを与える怖い現象なのです。

 

雨漏りにしても、内部結露にしても、何が怖いかといえば、湿気を好むシロアリや木を腐らせる木材腐朽菌をの発生原因になるからです。

木が腐ったり、食べられると、更に怖いのが大地震です。たとえ耐震等級3の建物でも構造が弱ってしまえばひとたまりもありません。

また、リフォームをする際にも、柱や土台を交換することになり、費用が高額になってしまいます。

つまり、壁の中に湿気をためてはいけないのです。

ですので、湿気を含んだ空気が壁の中に侵入しないように、気密性を高める必要があります。その方法については、施工会社によって考え方と施工に違いがありますが、カスケの家では、最初に紹介した、防湿・気密層を設けて、コンセントなど漏気の急所となる個所の気密性を高める施工を施しています。

家を60年、100年と住み継いでいけるようにするには、何よりも構造材である木を健全に保つような施工をすることが重要です。

 

高気密・高断熱の住宅にするデメリットとは?

丁寧な施工をする分、建築コストが(少し)高い

 実は気密施工を嫌がる大工さんも多いのです。手間代のわりにやることがおおくて、作業効率が悪くなるからでしょう。

ただ、この施工の意味をよく理解している会社の大工さんは作業になれているので、気密測定の結果に満足したり、悔しがったりもします。

どのような気密施工をするかは各社違いがあります。中には、ただただコーキング材を打ちまくってすき間を埋めているだけの会社もあります。

ですので、価格がどのくらい上がるかは各社まちまちですが、概ね50~80万程度ではないでしょうか。

車と違って、家は一生住み続けるわけですから、最初の眼に見えないコストはそのコストと効果をよく聞いたうえで判断しましょう。

 ※壁貫通部の気密テープ施工の例

 

24時間換気を行う必要がある

 

 

内部結露を起さないために気流止めを行う必要がある

 

 

 

高気密高断熱住宅でよくある失敗・後悔事例3選

断熱性を重視して窓が小さすぎる

断熱性能を示す、UA値(外皮熱貫流率)は、天井、床、壁、窓のU値(熱貫流率=熱の通りやすさ)の合計を屋根、外壁の面積で割った数字です。

窓は最も熱を通しやすいので、窓をなくしたり小さくすれば、UA値は小さくなり断熱性の高い家ということになります。

ただ、いくら断熱性が高くて暖かい家でも、窓が小さすぎて暗かったり、風が入ってこなかったりは嫌ですよね。

省エネ法の改正によって、UA値の競い合いが始まっている感もありますが、換気や漏気も含めて家の快適性を総合的に考えるのがプロの設計士です。

窓の機能と良さを理解した設計士に家づくりを依頼しましょう。

 

性能にこだわりすぎてオーバースペックになる

最近、YOUTUBEなどで家づくりについて勉強される方が増えました。今まではハウスメーカーや工務店から説明さえなかった重要なことを事前に知っておくことは後悔しない家づくりには大切なことです。

ただ、どんな業界でもそうですが、家づくりにも様々な考え方があります。諸説入り乱れているのが現状です。

 断熱性、気密性、耐震性、耐久性など絶対に「根拠を求める必要のある」性能はありますが、全てを最高レベルにするとやはり予算は上がります。

岡山は温暖な地域ですので、北海道で求められる断熱性能まで上げなくても快適に暮らせます。

例えば、夏も冬も冷暖房なしで暮らせる究極の家が欲しい!と決めていないなら、地域の気候と予算に応じて、優先順位を決めることでオーバースペックにならないようにすることができます。

 

生活動線が悪くなるような間取り設計になっている

 

 

まとめ

 誰しも、快適で長持ちする家に住みたいと考えていらっしゃいます。そんな家をどのように実現するのかはわかりにくいのが実情だと思います。

キーワードは、①断熱性 ②気密性 ③耐久性の3つで、加えて④耐震性です。

まずはこの4つの観点で家づくりを考えて、情報収集、会社選びをしてみてください。全てにおいて、「根拠を提示してもらう」ことが重要です。

 


 カスケの家では、建築中現場のレポートを公開中です。

「家づくりは見えないところが大切!」をモットーに、基礎、躯体、防水部分の第3社検査も実施しています。

 毎日更新を心掛けておりますので、ぜひご覧ください。

 

 

この記事を書いたスタッフのプロフィール 

安藤 辰

岡山県倉敷市出身。昭和50年生まれ。二級建築士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー2級。

創業明治16年の株式会社安藤嘉助商店の5代目店主。新築、リフォーム、不動産の住宅ワンストップサービスを通じて、住み継げる家を増やし、住み続けることのできるまちづくりを人生のミッションにしている。


家と暮らす。家と歩む。

◆リフォームを長年してきたからこそわかる、新築住宅のあり方
創業明治16年の安藤嘉助商店カスケホームの新築住宅「カスケの家」。
性能にこだわった家づくりをしています。末永く住み続けられる“コスパ最適快適住宅”をご提案いたします。
 
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