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無垢フローリングとは?メリット・デメリットと木材の種類・選ぶポイントを解説

2022/04/28(木) 家づくりのこと

contents

1.無垢フローリングとは

2.無垢フローリングのメリット・デメリット

 1-1 無垢フローリングのメリット

 1-2 無垢フローリングのデメリット

3.無垢フローリングの木材の種類

 3-1 ウォールナット

 3-2 パイン

 3-3 スギ

 3-4 ヒノキ

 3-5 クリ

 3-6 オーク・ナラ

 3-7 メープル

 3-8 タモ

 3-9 チーク

 3-10 アカシア

 3-11 バーチ・カバザクラ

 3-12 カリン

 3-13 ブラックチェリー

4.まとめ

無垢フローリングとは

人気の高い無垢フローリングですが、この”無垢”がどのような素材のことなのかよくわからない方もいらっしゃると思います。

 

無垢とは丸太からフローリング材を切り出した自然な状態の建材のことです。なので、無垢フローリングは丸太から切り出した天然の一枚物のフローリング材ということです。一方、無垢フローリング以外の素材としてよく使われているのが複合フローリングと呼ばれるものです。複合フローリングとは薄くした木の板を接着剤で張り合わせて、ブロック状にした人工的に作られた建材です。

複合フローリングは木の板を張り合わせて作るので、品質が安定していますが、無垢フローリングは切り出したままの木材なので、品質にばらつきがありますが、素朴で温かみのある天然素材ならではの質感や、木材一つ一つの表情を心置きなく実感できるのが無垢フローリングの大きな特徴です。

無垢フローリングのメリット・デメリット

無垢フローリングは建築・住宅雑誌やHP、SNSなどでたくさん出てくる人気の建材の一つですが、それぞれメリット・デメリットがあります。それをきちんと把握した上で建材を選択しないと、自分が思っていたイメージと違ってトラブルになることもありますので、素材について勉強することがとても大事になりますので、ぜひ一読下さい。

無垢フローリングのメリット

 

無垢フローリングといえば木材の表面の質感から温かみや和みを感じることができるのはメリットの一つで、そう感じる方が多いと思います。しかしそれだけでなく無垢フローリングは、他の素材に比べて熱を伝えにくいという性質があり、その点からも温かみを感じやすいです。例えば金属などは手に触れるとヒヤリとしますが、無垢材などの木材は感じにくいと思います。それは「手の熱を奪わない=熱伝導率が低い」からです。なので、無垢フローリングは、見た目だけでなく、性質的にも温かみを感じることのできる素材なのです。

成長している木は水分の吸収、排出を繰り返す作用がありますが、加工後にもその作用を続ける調湿作用という性質があります。つまり無垢材には空間の快適さを保ってくれる働きがあります。例えば、周囲の湿度が高い時には空気中の水分を吸収し、周囲が乾燥して湿度が低い時には自らの水分を放出することで、常に60%前後の湿度に調節してくれます。これは木が建材として加工された後もしっかりと生きている証拠でもあり、天然素材ならではの性質といえます。

 

木の香りが心を落ち着かせ癒し効果があることも、科学的に実証されています。それはフィンチッドという樹木が空気中に発散する様々な揮発性の香り物質を吸うと、ストレスなどの感情が減少するというもので、血圧の低下や脳の鎮静化、作業能率が上昇するなどの実験結果も出ています。

 

時とともに無垢フローリングはその木肌の色合いを深めていきますが、これも無垢フローリングが人を魅了してやまない理由の一つです。木材の種類によって色味の変化に差がありますが、時間が経つにつれて、艶が出てきて飴色などに変わっていきます。これを経年変化といい、無垢フローリングの細胞内に含まれているヤニなどの樹脂が時間の経過とともに表面に浮き出てくることから起こります。

 一本の木から採った材料でもその一枚一枚、色の濃淡や木目の模様は異なります。それは木の部位によるためで、木の外側は木目の幅が大きく色は淡く、中心部は年月の経過とともに色が濃く変化していきます。また色合いは季節とも大きく関係し、暖かい春や夏の頃など大きく成長した部分の色は淡く、夏から秋にかけて成長が遅くなった部分は木の細胞が詰まって色が濃く見えます。このように木の成長する過程や年齢によって色味は様々なので、均一な色味の材料ではありませんが、その自然ならではの様々な色合いや表情は無垢フローリングにしかない楽しみの一つともいえます。 

無垢フローリングのデメリット

無垢フローリングのメリットでお話しした調湿作用は、デメリットとしては周囲が乾燥しているとフローリングの継ぎ目に「突き上げ・隙間現象」が発生する点があげられます。周囲の湿度が高い時には空気中の水分を吸収し無垢フローリングは膨張し、継ぎ目部分が突き上がったり、周囲が乾燥して湿度が低い時には自らの水分を放出し無垢フローリングは収縮し、継ぎ目部分に隙間ができる場合があります。

無垢フローリングは天然木であるため、加工される集成材に比べると傷がつきやすくなります。柔らかい無垢フローリングであれば、物を落としてへこむこともあるので注意が必要です。また、犬や猫の爪の跡も付きやすいため、特にペットを飼っている家庭では傷が多くなる可能性が高くなります。しかし、傷がつくことも経年変化の味わいの一つですし、仮に、綺麗な状態に戻したいと考えたときに、集成材では不可能だとしても、無垢材では可能になります。水分を含むことで膨張する仕組みを利用して、へこみを直すこともできます。

木材によって様々ですが、無垢フローリングは表面に塗装をしていたとしても水に弱い傾向があります。水を含むことで膨張し、反りが起こる場合もあるのです。そのため、濡れたらすぐに拭き取ることが大切です。フローリングが塗れたままにしておくと、シミや菌が繁殖する原因となるので注意が必要です。 

 

無垢フローリングの木材の種類

ウォールナット

 

深みのあるこげ茶色で、重厚感あふれる木目が特徴です。強度が高く粘りもあるので、衝撃に強いという特性を持っています。床材としてだけではなく、家具や楽器などにもよく使われており、ヨーロッパの家具材を代表とするマホガニー・チークと並ぶ「世界三大銘木」の一つで、古くから愛されている木材です。

パイン

黄色がかった明るい色味で、木目がはっきりしており、比較的節が多めな木材です。パイン材の無垢フローリングの特徴として、16世紀から存在する城、教会などで使用されているほど長持ちする耐久性があります。暖かく滑らかな表面は、素足でも心地よい足触りを感じることができます。また長く愛されている木材なので、単なる流行などに左右されない普遍性も持ち合わせています。

スギ

白っぽい黄色や淡赤黒褐色が混在する色味で、ほのかに独特の香りがするのが特徴で、パインと同様に比較的節が多めな木材の一つです。日本の家屋でよく使われている無垢材の一つで、古民家などの和風建築にとてもよく合います。また木材自体は比較的軟らかく、温もりのある木材なので肌触りが非常によいのも特徴の一つです。

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ヒノキ

白っぽい黄色や茶色が混在している明るめな色味で、スギと同様に独特の香りがするのが特徴です。言わずと知れた日本を代表する高級な木材の一つで、日焼けによる経年変化では徐々に飴色に変化していきます。湿気などからくる腐りに非常に強く、強度も長年落ちない点から、伊勢神宮をはじめとして多くの社寺仏閣建築に用いられたり、現存する世界最古の木造建築物群である法隆寺の西院伽藍にも使用されたりしています。また殺菌、駆殺虫の作用があるので家ダニなどの害虫駆除の効果など、様々な性質をもっています。

クリ

木目がはっきりとした黄白色系の色味の木材です。腐食に強い特性を持っているので、日本では高級材として昔から重宝されていて、鉄道の枕木など多くの用途で使用されています。強固な材質で耐湿性にも優れているので、リビングなどの居室だけではなく、水回りにも最適な木材の一つです。

オーク・ナラ

黄白色系の色で、木目の方向によって色深い波線形や穏やかで優しい木目などと、いろいろな表情を楽しむことができます。また木肌が白く、きめ細やかで美しいもあり、世界中で最も多くフローリング材として使われている木材といわれています。高級家具をはじめ、昔から船舶などにも使われているので、非常に耐久性の中居ウイスキーの樽や野球のバットなど幅広く使われています。

メープル

白色系の淡い優しい色味ですが、堅く弾力性があるので、少しギャップのある木材とも言えます。木肌はだらりとした絹のような足触りで、木の真珠とも言われており、居心地の良い空間を作り出します。フローリング材としてだけではなく、バイオリンの竿やピアノなどの楽器や、家具や装飾品などにも幅広く使われる木材です。

タモ

黄白色系の色で、硬くて粘りがあり、木目もはっきりとしています。高級家具や運動用具などにもよく使われている。オーク・ナラとよく似た木目ですが、より力強い杢目がタモ・アッシュの特徴です。野球のバットやラケット、スキー板など様々な運動器具に用いられています。

チーク

オレンジがかった茶色で、趣のある深い木目が特徴です。木の王様と呼ばれ世界中の最高級の無垢フローリングとして珍重されていて、耐久性・耐朽性・耐水性を持ち合わせているので、ヨーロッパの家具材を代表とするマホガニー・ウォールナットと並ぶ「世界三大銘木」の一つでもあり、古くから愛されている木材です。

アカシア

赤・茶・黒・紫と様々な色が混在する表情豊かな木材で、堅く粘りがあり、衝撃や曲げにも強いので、紙の原料から高級家具まで様々な用途に使用されています。なので、木材として活用された歴史は古く、紀元前13世紀頃の古代イスラエルではシッタと呼ばれる神木としても崇められており、植林材で成長も早く環境に優しいことから「生命の木」と呼ばれていました。

バーチ・カバザクラ

淡白黄色で癖がない色合いで、優しくきめ細やかな木目で部分的に光沢を放つ木材です。また比較的木目の色合いのばらつきが少なく、模様が主張しすぎることがないので、幅広く様々なデザインに利用できます。固く、強度もあり、耐水性にも優れていますが、耐久性はそれほど高くないので、虫害には注意が必要です。

カリン

赤みがかった深い色合いで、滑らかな木目が特徴です。非常に重硬で、調湿作用などによる木材の動きが少なく、昔から家具などに使われています。木材の大敵であるシロアリに強く、古い日本家屋を建て替える時にも、大黒柱がカリンの場合は腐食していないことが多いと言われています。

ブラックチェリー

切りたては明るい琥珀色ですが、経年変化で赤く濃くなっていき艶と色が深まり、変化しながら美しさを増していきます。比較的節が少なく高級感のある木目で、滑らかで心地よい肌触りの木材です。ウォールナット・マホガニー・チークは「世界三大銘木」と呼ばれていて、今も家具材として高い人気がある木材です。ブラックチェリーも古くから家具材として使われてきましたが、その美しい木目と色合いから、ヨーロッパの家具職人たちは「ニューイングランドマホガニー」とも呼んでいたと言われます。 

まとめ

・無垢フローリングとは丸太からフローリング材を切り出した自然な状態の建材

・無垢フローリングのメリットは温かみがあること、調質作用があること、木の香りでリラックスできる、経年変化を楽しむことができる

・無垢フローリングのデメリットは突き上げ・隙間現象が起こる場合がある、傷つきやすい、比較的水に弱い

自然の状態である無垢フローロングには、他の素材には出せない味があり、種類もたくさんあります。また自然素材ならではの肌触り・調湿作用・快適性を持っていますし、色合い・木目などは木材によって様々な魅力があります。また現代社会ではある程度の緊張感を持って過ごすことが多くなってきています。だからこそ、リラックスできるお家で自然の優しさを取り入れると、よりゆったりと落ち着いた時間を過ごせるのではないでしょうか?

 

Profile

 

設計 妹尾章絵

倉敷市出身。家具図や納まりなどの詳細設計や素材選び、パース作成やコーディネート行う設計スタッフ。 小学校時代はインテリア、中学校時代以降は住宅に興味を持ち大学では建築を学ぶ。細部までこだわった再現性の高いイメージパースはお客様からも好評。モデルハウスの家具や小物のディスプレイも担当しているため、インテリアコーディネートのご相談もお任せ。

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