岡本 博史 自己紹介へ

気密性能を表すC値はどの程度確保すべきか?

2022/06/11(土) 家づくりのこと

 

contents

1. C値とはなにか?

2. 目指すべきC値はどの程度か?

 2-1 計算では求められないC値の測定方法とその費用

 2-2 気密性能(C値)は何のために必要なのか?気密は息苦しくないのか?

 2-3 昔あったC値の基準と目指すべきC値。気密を確保するために知っておくべきことは?

3. C値を上げるための秘訣、気密を確保して貰うためには?

4. まとめ

 

C値とはなにか?

 

 

高気密高断熱住宅を目指すうえで、指標として必ず耳にするC値。

建築した建物のC値が言える会社、言えない会社で、断熱気密・換気に対する考え方が分かったりもします。

C値とは、住宅の隙間を表す数値です。C値=家全体の合計隙間面積÷延べ床面積 で表されます。

つまり、数値が少ないほど隙間が少ない事を表します。断熱性能を表すUa値と同様に大事な指標です。

延床面積100㎡(30坪程度)の家で考えると、

Ⅽ値0であれば  100㎡×0㎠/㎡=0㎠ 隙間無し

C値0.5であれば 100㎡×0.5㎠/㎡=50㎠ 隙間  およそ7cm角

C値2.0であれば 100㎡×2.0㎠/㎡=200㎠ 隙間 およそ14cm角

延床面積にC値を掛けるだけですので、建てたい大きさの家に、

建設会社の実績のC値を聞き

現状、日本ではⅭ値の基準はなく、多くの住宅会社が、Ua値のみで性能表示をしています。

 

目指すべきC値はどの程度か?

 0を目指せば良いです。ただその為にコストや職人さんの労力をかけ過ぎるのは問題です。家はⅭ値のみではありません。カスケの家では0.5±0.2程度でる工法を採用しています。家は強さと使いやすさと美しさ、優先順位はありますが、バランスよく費用を使う事が大切です。

 

計算では求められないC値の測定方法とその費用

 

 

Ua値とは違い計算で求められない数値。職人さんの努力の結晶です。測定は専門業者を呼び、家全体に圧力をかけ、測定器で計測します。 

5万円程度で行っています。お客様がプロを過大評価している所もあるようですが、アピールにならないから勿体ないと感じられる建設会社さんもまだ、多く存在するのが実情です。熟練された職人でも、ミスがあります。テープの少しのヨレからでも空気は入ってきますし、単純な貼り忘れも人間なので無いとは言えません。検査をすれば、ある程度安定した数値を出せます。測定するとヒューヒューと隙間風がして、涼しいなと思ったこともあります。測定することで、ミスが分かり直せば0.5付近で落ち着きます。ただC値0.2を絶対切ってくれというような過剰な要求はいたしません。その日の風の強さにも影響を受けるのが気密測定です。誤差はある程度許容する必要はあります。

 

気密性能(C値)は何のために必要なのか?気密は息苦しくないのか?

 

 

何のためか、一つだけ理由を上げるのであれば、換気の為です。

2種、3種等、ダクトを使わない換気だと特に、気密性がなければ、給気口から計算した数字通りの給気量が入ってきません。

ですが、目に見えないものなので分かりにくいですよね、極端に言うと少し分かりやすいです。『この家はエアコンが利きませんが良いですか?』『この家は隙間風が入りますがよろしいですか?』『この家の24時間換気は回っているだけで換気してませんがよろしいでしょうか?』 

この問いかけに、『はい、そこまで気密性は重要視していませんので・・・』とはなりませんよね。『えっ、何言っているんですか』となるのが普通かと思います。エアコンはより効いた方が良いです。隙間風もいやですし、換気扇も機能しないのでは、付ける意味がないですよね。C値測定を行い、きっちり隙間をふさぐ、これが大事です。住宅は全てを工場で作れませんので、部材一つ一つ組み合わせていくと隙間が必ずできます。また、組み合わせた後に、電気の線や、給水・排水の穴をあけたりします。その都度隙間が出ないように職人が注意を払い穴埋めしますが、人間ですので、ミスがあります。それを探す目的もあります。

息苦しいと感じられる方は、極端に言うとナイロン袋の中で生活しているイメージなんでしょうね。息苦しそうです。高気密高断熱のモデルハウスに行ってイメージで息苦しく感じてしまう方もいらっしゃるようです。近年建てられたRC造のマンションも気密性が高く0.5くらいだと言われてます。同じように息苦しいと感じられるでしょうか。

実際は、法律で定められた計画換気量を満たさない家は現状建てれません。1時間に0.5回、言い換えれば2時間あれば、居住スペースの空気が入れ替わるように家を建てなければいけません。これは計算上です。

計算は、建物の隙間を考慮していません。Ⅽ値が0の状態です。隙間があるとどうでしょうか、ショートサーキットと言って、排気の周りから空気が抜け、換気扇(排気)から遠い場所はほとんど空気が動かず、よどんだ空気がたまることになります。

極端に振れば分かりやすいですが、壁のない隙間のみの家なら、空気のよどみはないと思います。中途半端にC値2とかの家だと半端に隙間風が入ってきて

寒いし、換気も出来ないしとなります。ストーブつけて空気が淀めば換気して、という生活になります。

窓を開けずとも、計算結果に近い換気が出来る。そうすると出来ることが増えていきます。換気扇による熱損失も計算の精度が上がります。

エアコンをつけっぱなしで、全館空調して窓を開けなくとも計算通りの換気が行われる。淀んだ空気で過ごさなくて良い家が出来ます。

C値測定をしないと、せっかくやった換気計算は意味がないのでは、と思います。申請を通す為だけの計算はやりたくないですね。

 

昔あったC値の基準と目指すべきC値。気密を確保するために知っておくべきことは?

 

 

 5・6地域(我々の住む地域)でC値5.0という基準がありました。今のUa値の基準同様、かなりあまいと思います。

 普通に、建てても、C値2.0程度出ると言われていますので、気密測定すれば、クリアということになります。

 

3. C値を上げるための秘訣、気密を確保して貰うためには?

 

 測定あるのみですね。経験がないとなかなかでません、職人さんにも測定の時立ち会ってもらいます。

以前測定して、0.25という数字が出たことがあります。私としては、十分な値だと思いましたが、大工さんは悔しがってました。

測定すると職人の意識も変わり、もっと隙間を無くそうとしてくださいます。

家はⅭ値だけでもありませんが、やはり検査をすることで目標が出来、図面も前より見てくださったり、いい影響が出てきていると

感じます。C値は、設計でも出やすいように色々心がけますが、現場での丁寧な施工が数値化されますので、職人さんの意識改革が必要です。

 

4. まとめ

 

 

C値は大切な指標です。現場の職人さんが、気密シートを止めるときに打つタッカーの数、テープのヨレ等すごく細かなところまで気を配り、数字を追い求めてくださっています。一生に一度のマイホーム、関わる職人、スタッフが一生懸命してくれることが良いかなと思います。

C値なんて古いとか、言う建設会社さんもいるかもしれませんが、今の建築技術、テクノロジーだと、やった方が良いではなく、新築は必須かと考えています。それぞれ、費用を使うポイントは違うかと思いますが、当たり前の基準になっていけば良いなと思っています。

 

この記事を書いたスタッフのプロフィール 

設計 岡本博史

倉敷市出身。昭和54年生まれ。二級建築士。前職は設計事務所で建築確認申請などを多く行い、構造計算や断熱性能計算について精通した設計士。

周辺環境を考慮し、風や太陽に素直に設計するパッシブ設計を得意とする。末永く飽きずに住み続けられる家づくりを心掛けている。

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