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新築住宅でニッチを設計する時に失敗しないポイントを解説

2023/05/16(火) 家づくりのこと

contents

1. はじめに

 1-1 ニッチとは

 1-2 新築住宅でニッチを取り入れるメリット

 1-3 ニッチを設計する上でよくある失敗

2. よくあるニッチの失敗例

 2-1 配置・位置の不適切さ

 2-2 サイズや形状の誤り

 2-3 ニッチの照明で気を付けるべきこと

 2-4 ニッチの使い勝手の悪さ(何を置くか、どう使うのか、奥行を間違えてリモコンが埋め込めない)

 2-5 材質・耐久性の不備

3. 失敗事例の解決策と対処法

 3-1 配置・位置を見直す

 3-2 サイズや形状を最適化する

 3-3 ニッチの照明で気を付けるべきこと

 3-4 ニッチの使い勝手を向上させるアイデア

 3-5 材質・耐久性の選択と修繕

4. 新築住宅のニッチ設計で失敗を防ぐためのポイント

 4-1 プロとのコミュニケーションをとる

 4-2 事前に使い勝手をシミュレーションする

 4-3 全体のインテリアとのバランスを考える

5. まとめ

 5-1 ニッチ設計の失敗の教訓と今後の注意点

はじめに

ニッチとは

ニッチとは古代ローマ建築からきた技法・名前で、壁の厚みを利用したくぼみ・へこみのことです。西洋建築ではアーチ状のものや半ドームのものなどがおおくありますが、現在の日本でよくみられるニッチは、長方形の角ばったものが多いです。

ニッチには小物や花瓶などを飾ったりと飾り棚のようにして使われることが多く、家具とは違って見た目がすっきりしていて、なおかつ場所を取らないのでとても人気があります。飾り棚以外にはスイッチやインターフォンなどのリモコンパネルを埋め込むことも多く、壁面をスッキリと納めることができます。

新築住宅でニッチを取り入れるメリット

ニッチを作るとデザインがプラスされ、より華やかな空間にすることができます。例えば間取りによっては殺風景になりがちな玄関もニッチを取り入れると、来客時に季節ものの飾りや写真などがあれば、さらによい印象の空間になります。その他にも廊下や階段などデザインを加えにくい空間にニッチを取り入れると、より充実したものにすることができます。

また壁面に取り付けるものなので、間取りに関係なく場所を取らず動線の邪魔になることもないので、収納として作るのも非常に便利です。またニッチの中の素材や色を変えることで空間にアクセントが加わり、おしゃれさをアップさせることができます。

ニッチを設計する上でよくある失敗

そんなデザインや便利さをプラスしてくれるニッチですが、作って失敗したという声を聞くことも多いです。失敗しないためにはきちんと目的のあるニッチをつくることです。よくあるのが「間取りには特にこだわりがなかったから、せっかくだしニッチをつけてみようかな」とふんわりとした漠然としたイメージで作ってしまって、結果的に「ニッチはいらなかったな...」という声です。せっかくお金をかけて作ったのにいらなかったなんてもったいないですよね。そんな憧れのマイホームで失敗したり後悔が残らないようにニッチの失敗例と併せて解決策と対処法を紹介しますので、みなさんぜひチェックしてみて下さい。

よくあるニッチの失敗例

配置・位置の不適切さ

空間にデザインと便利さを与えてくれるニッチを施工したいと希望される方は多くいらっしゃいます。またよく使うものはオープンにおしゃれな置き場所を作りたいという方もたくさんいます。そんな便利なニッチですが、きちんと事前に計画できず「希望していたニッチを付けることができなかった」という声もあります。またもしかしたらニッチをつけてはいけないところに無理やり施工してしまったなんてことになりまねません。

他にはニッチの個数が多すぎて掃除が大変という声もあります。ニッチは便利ですし可愛らしい印象のものが多く、たくさんつけたくなりますが、ニッチは間取りによっては目に入りやすいところに施工されることが多いので、埃や汚れがあると目立ちやすいです。

サイズや形状の誤り

間取りや構造にもよりますが、ニッチは縦幅・横幅の自由だけでなく、上端をアーチ状にしたりと様々なバリエーションのものを作ることが可能です。その分気に入った形状のものをご希望される方が多いですが、工事後置きたかった雑貨や収納したかったものの高さがニッチよりも高かったり、思ったよりも奥行きのあるもので、思い通りのニッチに仕上げることができなかったなどの声を聞きます。

ニッチの照明で気を付けるべきこと

ニッチは壁の厚みを有効利用した飾り棚なので、奥行きが限られていることが多いので、付けたい照明がある方は取付できるか工事会社や設計士に早めに確認しておかないと、いざ照明を取り付けようと思ったら取り付けられないなんて失敗は回避できます。

またニッチの開口の高さによって照明の明かりの広がりは大きく変わって見えます。ニッチが完成して、照明の明かりに違和感がある場合、照明器具や商品によっては交換が難しいこともあるので、後悔しないようにこの内容も設計士との打ち合わせの時に相談しておく必要があります。

ニッチの使い勝手の悪さ(何を置くか、どう使うのか、奥行を間違えてリモコンが埋め込めない)

間取りや構造にもよりますが、ニッチは縦幅・横幅の自由だけでなく、上端をアーチ状にしたりと様々なバリエーションのものを作ることが可能です。その分気に入った形状のものをご希望される方が多いですが、工事後置きたかった雑貨や収納したかったものの高さがニッチよりも高かったり、思ったよりも奥行きのあるもので、思い通りのニッチに仕上げることができなかったなどの声を聞きます。またニッチの中にインターホンや給湯器のリモコン(リモコンニッチ)や照明のスイッチ(スイッチニッチ)などを埋め込むことも多くありますが、寸法に余裕を見ておらず使いにくいニッチになってしまうこともあります。

材質・耐久性の不備

ニッチはいろんな材料で仕上げることができるので、よりオリジナリティのあるものにすることができます。ニッチは空間のポイントにもなるので、まわりの素材とものを変えたり、色味を変えるなど間取りやデザインによっていろんな雰囲気に仕上げることができます。しかし選びしろが多い分、適材適所な素材や色を選ばないと、お家に住み始めてからの掃除などのメンテナンスで失敗したなと感じてしまうこともあります。

失敗事例の解決策と対処法

配置・位置を見直す

前述にもありますが、まず大前提として必要な場所にニッチをつけることが大事です。必要のないところにニッチをつけてしまうと、飾るものがなかったり、掃除が大変に思ったりと後悔してしまう可能性があります。そうならないように、あくまで必要な箇所だけにニッチを取り付けることをオススメします。例えばスマートフォンを充電したい場所であれば、コンセントの近くにニッチを設けると、充電しながらニッチ内にスマートフォンを置くことができるので、動線の邪魔にならず、見た目もスマートにすることができます。

またニッチをつけたくてもつけられない位置があります。ニッチは壁の厚みを使うので、筋交いなどや構造用合板が計画されている耐震壁にはニッチを作ることができません。無理やり施工するとなると、耐震壁にニッチを作ろうとすると筋交いや行動用合板を切ったりと、本来必要な部材が施工できなくなってしまうからです。耐震壁に関しては早めにニッチをつけたい位置を早めに担当の設計士に伝えておけば、耐震壁の移動ができる場合があるので、早め早めの計画が重要です。またお家が内断熱の場合は、外壁面に面した壁には作ることができません。外壁面にニッチを作ると計画していた断熱材が納まらなくなり、断熱欠損になる可能性があるからです。こうならないためにしっかりと事前に担当設計と打ち合わせすることが必要です。

サイズや形状を最適化する

ニッチを作る際は置くもののサイズを事前に確認しておくと、サイズの失敗を防ぐことができます。なんとなくでニッチのサイズを決めてしまうと、置きたいものが置けなかったり収納できなかったという失敗が無くなります。

またニッチの中にインターホンや給湯器のリモコン(リモコンニッチ)や照明器具のスイッチ(スイッチニッチ)などを埋め込むことも多くありますが、寸法に余裕を見ておらず使いにくいニッチになってしまうこともあります。ニッチのサイズ変更は大掛かりな工事になってしまいますので、事前にニッチの活用方法をイメージして計画することをオススメします。

ニッチの照明で気を付けるべきこと

ニッチ内に照明を取り付ける場合狭いところに取り付けるため、照明器具の大きさの制限がかかります。取付できる寸法は下地などによって一概には言えなず、実際の工事会社や設計士でないとわからないことが多いので、付けたい照明がある方は取付できるか確認しておくといいと思います。

照明の明かりの具合はそれぞれのニッチの形状に合わせて適切に照明を計画する必要があるので、まずは何をどれぐらいの明かりの量がいいのか考えて、担当の設計士にイメージを伝えて検討してもらうことをオススメします。そうすると失敗することなく理想のニッチをつくることができます。

ニッチの使い勝手を向上させるアイデア

ニッチの使い方は小物おきやリモコンスイッチ・スイッチニッチとしてだけでなく、配置に困ることの多い神棚や、表紙を表に向けるようにして使うことのできる本棚があります。

その他にはスリッパ置き場やトイレットペーパー置き場など収納に関してだけあげてみても使い方は様々です。また最近ではSNSでニッチのアイデアの紹介や事例がたくさん掲載されているので、それを見て自分にとって最適なニッチを探してみるのもいいかもしれません。

材質・耐久性の選択と修繕

ニッチは様々な材料で仕上げることができますが、上手く材料選びをしないと、使いにくいニッチになってしまいます。そんなことにならないように事前にどんなものを飾ったり置いたりするのかイメージしてから、材料を選ぶと失敗しにくいです。例えばニッチの中をすべて塗り壁にして仕上げるとシンプルでスッキリしたものになりますが、そのニッチの中に花瓶など水や硬いものを置く場合、ニッチの表面を傷めてしまう可能性があります。そんなことにならないように事前にどんなものを飾ったり置いたりするのかイメージして、日々の掃除やメンテナンスのことを考えながら材料を選ぶと失敗しにくいです。

新築住宅のニッチ設計で失敗を防ぐためのポイント

プロとのコミュニケーションをとる

家づくりはお客さんと工事会社との密なコミュニケーション必要不可欠です。また人は一人一人違うので、高さ設定に関係する身長が違えば、生活スタイルも異なります。そのため工事会社との打ち合わせでは気になることは早め早めに伝えることが大事です。特に新築工事ではお客さんが思っている以上に工事会社の方では工事の段取りや申請関係の手続きが進んでいることもありますので、注意が必要です。また工事中であっても変更が効くタイミングで失敗を防げた方もいらっしゃいますが、全てうまくタイミングよくできるとは限りませんので、工事会社との打ち合わせなどコンタクトを取るタイミングを大事にしてコミュニケーションを密にとることが重要です。

事前に使い勝手をシミュレーションする

ニッチは様々な使い方ができます。季節ものの飾りを置くこともできますし、郵便・宅配が来た時に便利な印鑑置き場など使い方はいろいろできます。なのでどこにニッチが必要で、何を置くのかをシミュレーションをしてニッチを計画すると、使いやすく実用的なものにすることができます。

全体のインテリアとのバランスを考える

ニッチはいろんな形状できるので、空間に合わせてデザインするとよりおしゃれ度が増します。四角いニッチはジャパンディやナチュラルテイストの部屋とも相性がよく、周りのデザインと馴染みやすいです。また写真のように大小の四角いフレームを組み合わせることで、ナチュラルな可愛らしい印象にすることができます。

フレンチテイストの部屋であればアーチ状のニッチが人気で、優しく可愛らしい印象になります。お話ししたように、ニッチは古代ローマ建築からきたものなので、このようなアーチ状のものは洋風なテイストの部屋には合いやすいデザインです。

まとめ

ニッチ設計の失敗の教訓と今後の注意点

ニッチはデザイン性もあり、物置にもなる便利なものですが、当然つける箇所が増えれば増えるほどお金もかかりますし、日々の掃除などのメンテナンスにもその分時間がかかります。またニッチ設計を失敗してしまった場合、たとえニッチを使わなくなっても掃除の手間を省くことはできません。なので、今回ご紹介してきた失敗例と教訓から、ニッチを計画する際には下記の最低限の内容をきちんと事前に確認しておくことがとても大切です。

■ニッチをどこに取り付けたいのか:ニッチの位置を確認

■ニッチに飾るもの、置くもの:ニッチのサイズ、素材を確認

■ニッチをどんなデザインにしたいのか:ニッチの形状を確認

■ニッチを照らしたいかどうか:ニッチの照明の有無を確認

確認事項は非常に基本的な内容なので、億劫に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、とても大事なことです。憧れのマイホームで失敗しないように、特に初めての新築住宅を建てようとしている方は、ニッチに限らず事前にいろいろ検討したり注意点を把握・チェックすることをオススメします。そうすればきっと思い描いた憧れの暮らしや生活を手に入れる事ができるはずです!

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