高気密高断熱住宅は省エネで快適な暮らしできる高性能な住宅。普通の家よりも冬は暖かく、夏は涼しく過ごすことができます。
今回は、より快適に、より省エネな暮らしを実現するためのエアコンの選び方やその注意点について解説します。
高気密高断熱住宅についてもっと知りたい人はこちらの記事も確認してみてください。
オススメ記事:高気密・高断熱・高耐久な住まい。快適で長持ちする家づくりとは
contents
高気密高断熱住宅とはどんな家?
高気密高断熱住宅とは、限りなく隙間を減らし、断熱性能を高めることで外気温の影響を受けにくくした住宅のことです。外気温の影響を受けにくいため、効率的に室内を温めたり冷やしたりすることが可能。夏は涼しさ、冬は暖かさをキープでき、1年中快適に過ごせる住宅です。
高気密高断熱の家は本当にエアコン1台で大丈夫なの?
高気密高断熱住宅ならエアコンは一台で十分じゃないの?と考える方が多いかもしれません。
しかし、一台のエアコンで家全体の室温をコントロールするには「一定の条件」を満たす必要があり、お部屋によっては個別でエアコンを設置したほうがよいケースがあります。
エアコン1台で大丈夫な条件
【条件①】壁などで空間が仕切られていないこと
間仕切り壁、ドアなどが増えると、空気の循環がしにくくなりエアコン効率も落ちてしまいます。
1台のエアコンで快適に過ごせる空間を実現するために「できるだけシンプルな間取り」にすることが重要です。
【条件②】家全体に送風できる設備があること
エアコン1台で快適に過ごせるということは、第1種換気システム(給排気を機械で行う)などを導入した、高性能な住宅であることが前提です。
エアコンを個別で設置したほうがよい部屋とは
■パソコンなど熱を発するものがある部屋
■人がたくさん集まる部屋
■日差しがたくさん入る狭い部屋
熱を発するものがある部屋と熱をため込みやすい部屋は熱がこもりやすく、
室温が高くなる傾向があるため、個別でエアコンを設置したほうが良い場合もあります。
エアコンの取り付け位置・高さについて
通常エアコンは天井付近に取り付けることが多いと思います。なぜこのような位置に取り付けるかというと、暖房のときは吹き出し口を下に向けることによって、暖かい空気は上に、冷房のときは吹き出し口を地面に対して水平にすることで、冷たい空気は自然と下がっていくためです。
エアコンの設置位置は、高ければ高いほどよいわけではありません。
一般的な壁掛けタイプのエアコンは本体より高い部分の空気を冷やすことができず、下に関しても、3m以上下の空気を暖めることができません。
では、エアコンを効率的に運転するにはどこに設置すればよいのでしょうか?
①大きな窓から離れた位置
窓のそばは一番外気の影響を受けやすい場所なので、できれば大きな窓から離れた位置から風を流すのがおすすめです。
窓から外気の熱が伝わってきますので、部屋を空調した熱で窓へ押し返すようなイメージ。窓近くにエアコンの吹き出し経路があると、空調した熱が窓からの熱で弱まってしまう恐れがあります。
②天井、壁から5㎝以上離れ、床面から1.8~2.4mの高さの場所
エアコンは周りの空気を取り込み、温度調整をした上で送り出しています。周りにスペースがなければ、エアコンは十分な量の空気を取り込むことができなくなります。その結果、エアコンは少量の空気しか部屋の中に送り込めなくなるため、部屋の温度を効率的に下げることができなくなります。
このようなことを避けるため、エアコンの周り四辺には、一定のスペースを設けましょう。
③暖房運転時、エアコンの下に障害物がないこと
空気の性質上、冷たい空気は部屋の足元に、暖かい空気は部屋の天井近くに滞ります。エアコンを効率的に使うためには、この空気溜まりをかき混ぜて、部屋の中の温度差をなくすことが大切です。しかし、暖房運転時にエアコンの真下に家具などの障害物があると、温風が床まで届きにくくなってしまうので注意しましょう。
④エアコンは壁の短辺に取り付けること
効率的に部屋の温度を上げ下げするには、風が送られる面積を広くしなければなりません。そのためには、部屋の壁の短辺側のほうにエアコンを取り付けることが効果的です。エアコンの風が当たる面積を増やすことで、より短時間で部屋の温度を調整することができます。
部屋が長方形の場合は、短辺側にエアコンを設置、正方形の部屋では、電源コードが届く範囲で壁の中心部分に設置しましょう。
⑤室内機と室外機を近い位置に設置する
エアコンは室内機で取り込んだ空気を室外機で冷やし(または温めて)、再度室内機に戻して部屋に送るという仕組みになっています。
室内機と室外機の距離が遠い場合、元々入っていた冷媒ガスでは足りなくなり、熱効率が下がってしまいます。
電力効率を高めるためには、室内機と室外機はできるだけ近い場所に設置しましょう。
エアコンのサイズ選定方法
設置を考えているお部屋の条件によって適したエアコンは異なります。窓の配置や、日差し、風通しなどがエアコンの性能を左右するためです。
お部屋の条件に合わせ、エアコンが最も効率的に動いてくれるサイズやスペックをよく検討して選びましょう。
電量販店にいくと様々なエアコンが販売されており、6畳用や14畳用など様々な畳数が書いてあります。これは通常の家で使用することを想定した畳数で、実は1964年に制定された基準のままなのです。近年の高気密高断熱住宅において、この適応畳数通りの機種を選ぶと暖まり過ぎ・冷え過ぎることもあるので、少し小さいサイズでも十分でしょう。
つけっぱなしにすると電気代は安くなる?
結論から言いますと、「つけっぱなし」のほうがトータルの消費電力が下がる傾向にあります。
エアコンは起動時に多くの電力を消費します。
設定温度と実際の部屋の温度に差があると、設定温度にするためにパワーを使うため、電力を多く消費してしまうのです。
つけっぱなしにしておくことで、設定温度と実際の部屋の温度が常に変わらない状態になり、小さなパワーで持続的にエアコンを稼働させるので瞬間的に力を使う必要がありません。
つけっぱなしにすることで、夏の熱帯夜でも寝苦しさを感じませんし、真冬も廊下やトイレ、お風呂などで寒い思いをしなくてすみます。
高気密・高断熱の家におすすめのエアコンメーカー紹介
ダイキン「Eシリーズ」
リビングは24畳くらいまでなら14畳用200Vのタイプが一番おすすめ!高気密高断熱住宅では、スタンダードなエアコンで十分まかなえます。
「Eシリーズ」はカビの抑制効果があるストリーマ搭載、水内部クリーン機能も備えたベーシックモデル。
室内機・室外機ともにサイズが小さく、設置スペースに限りがある場合は特におすすめです。
ダイキン「ハウジングマルチエアコン VRシリーズ(床置き型)」
床置き型のエアコンもおすすめです。
ダイキン「ハウジングマルチエアコン(床置き型)」は、給気方式の換気できるエアコン。換気しながらお部屋の空気を快適に保ちます。
上下2方向から快適気流を届け、足元はもちろん、上からもワイドに気流を吹き出して、お部屋全体を空調します。
特に冬には、足元から気流を送ることで温もりが広がるので、冬の底冷えを和らげたい場合に効果的な空調スタイル。スリムでコンパクトな設計なので、家具の下にもすっきり納まり、天井が高い吹き抜け空間にもおすすめです。
床置きなので壁付けよりも手が届きやすく、メンテナンスもしやすいのもいいところですね。
高気密高断熱住宅でのエアコン取り付け手順
①コーキング材で気密処理
高気密住宅へのエアコン取付について忘れがちなのがエアコンスリーブ(壁貫通穴)への気密処理です。気密処理はウレタンでもコーキングでもいいですが、エアコンの配管は束になったものなので小さい隙間ができやすくコーキングでは不利なのでウレタンが適していると思います。この部分の気密処理がおろそかになるとエアコン配管とスリーブの間で結露が起きますので要注意です。
②パテで気密処理
エアコンのスリーブ隙間は一般的にはパテで行います。ここで注意ですが、パテは隙間が埋めれたように見えて隙間が空いています。配管が2本抱き合わせになっているのでどうしても隙間ができます。埋めるときはパテに頼らずウレタンやコーキングでしっかり気密しましょう。
③ビス穴、ビス上の防水処理
危険な個所はスリーブだけではありません。屋外の配管カバー取付時の防水処理です。その家を施工した会社ならどのような外壁の構成かはわかりますが、エアコン取付は家電量販店の可能性が高いです。
最近作られた多くの家は外壁に通気層を設けているので、外壁に穴が開いても大丈夫だったりしますが、通気層を設けていなかったりする建物へは必ず防水処理は必要です。外壁がガルバの家は外壁穴あけ時には切り粉によるもらいさびに注意です。
④ヘッドカバー周りの防水処理
ヘッドカバーの防水も大変重要です。気密施工をすれば水は入らないとおもっている人も多いですが、防水が甘ければエアコンの配管を伝って内部に水が浸入してしまいます。
⑤害虫侵入防止
エアコンからゴキブリがでてきたというを聞いたことがあります。実はエアコンのドレン管は屋外まで通じています。ドレン先端に虫対策キャップが販売されているので気になる方は100均へ!
エアコンは後付けでも大丈夫なの?
もちろんお家の完成後でもエアコンの取り付けは可能ですが、高気密高断熱住宅の特性を考えるとあまりおすすめできません。
通常、高気密高断熱住宅では、エアコンを取り付ける際にあける穴はしっかりと気密処理を行います。後付けの場合もきちんと気密処理を行えば問題ありませんが、処理が甘い場合は、外気が入り放題となり、せっかくの気密性・防湿性が損なわれる可能性があるためです。
後付けする場合は、「高気密高断熱住宅へのエアコン取り付け経験があるかどうか」確認することをおすすめします。
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