ランドリールームのレイアウト術と失敗しないためのポイント
新築やリノベーションで新たに「ランドリールーム」をつくる最大のメリットは、洗濯動線をコンパクトにすることで、家事がしやすくなることです。
これまでの住宅では、洗面脱衣室の一角に洗濯機置き場があり、干すのは庭先やベランダ、もしくはサンルームや室内の一角。洗濯動線は、洗濯物を物干し場まで運ぶ→洗濯物を取り込む→室内でたたむ→各部屋の収納にしまうというのが一般的でした。
ただこれだと移動が多く、洗濯家事をするのに家の中を行ったり来たりする必要があり、実際めんどくさいと感じている方も多いのではないでしょうか?
そこで人気の間取りとなっているのが、洗濯家事を専門にする空間「ランドリールーム」がある間取り。
ランドリールームといっても、いろいろな間取りパターンがあります。この記事では、ランドリールームの特徴や失敗例をご紹介します。
レイアウトのポイントや施工事例についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!
contents5-2 洗う・干す・収納するが一か所で完結するランドリースペース |
ランドリールームとは
ランドリールームとは、「洗う」「干す」「アイロンをかける」「たたむ」といった洗濯家事を、まとめて行うための専用スペースのことです。
洗濯家事は、洗濯物を干すための移動や、たたむために座る上下の動き、たたんだ洗濯物を収納スペースに運んだり、家事動線が長く、動きの多い家事ではないでしょうか?
一般的にランドリールームは、洗濯機を置くスペースと、洗い上がった衣類を干すためのスペースが一体となっていることが多いですが、ランドリールームの魅力はそれだけではありません。アイロンがけや収納スペースを併設することで、家事効率がアップし作業をスムーズに進められます!
ランドリールームは単なる作業スペースにとどまらず、家族の快適な生活を支える大切な場所となります。洗濯作業を効率化し、心地よい空間を作ることで、家事の時間を短縮し、家族との時間をより充実させることができるのです。
ランドリールームのメリットとデメリット
ランドリールームには家事の効率が大幅に向上するというメリットがある一方、コスト面などでデメリットと感じる方もいらっしゃるかと思います。
ランドリールームを設ける際は、これからご説明するメリットとデメリットを理解し、自分の生活スタイルに合ったランドリールームを作ることが大切です。
ランドリールームの5つのメリット
ランドリールームには、家事を快適にするための多くのメリットがあります。ここでは、ランドリールームの5つの主なメリットを紹介します。
①作業の効率化
洗濯物を干す、たたむ、アイロンをかける、収納するといった一連の作業を同じ場所で行えるため、動線がスムーズになります。約3帖程度の広さがあればこれらの作業を同じ空間に集約しやすくなります。
②時間帯や天候に左右されない
室内にランドリールームがあれば、雨の日や花粉の時期でも安心して洗濯を干すことができます。
また、外出時の突然の雨や帰宅が遅くなっても気にせず干しておけるので、共働き世帯にもうれしいスペースです。
③家電を集約
洗濯機、乾燥機、アイロンなどの家電を集約できるため、他の部屋をスッキリさせることができます。
さらに、子育て世帯に人気のガス衣類乾燥機「乾太くん」がすっぽり収まる収納棚や作業台を設けることで、より効率のよい空間を実現できます。
④生活スペースの分離
乾いた洗濯物をたたむために、一旦リビングなどに置いたままにすることもあるでしょう。その場合、生活感が出て見た目がよくなかったり散らかったりすることがあります。
ランドリールームがあれば、洗濯物をその干しておくことができるため、リビングなどが散らかることも減り、急な来客があっても安心です。
⑤プライバシーの確保
外干しの場合、人通りの多い道に面していたり、隣近所の建物と近かったりすると、洗濯物が人目に付くのが気になる可能性があります。
また、洗濯物の数や種類、干している時間などから家族構成やライフスタイルが知られる可能性もあり、空き巣などの被害につながるかもしれません。
部屋干しできるランドリールームがあれば、プライバシーを確保ができ、防犯対策にもなります。
ランドリールームのデメリット
①建築コストがアップする
ランドリールームを作ると床面積や内装工事、電気配線が増え建築コストがアップします。限られた予算やスペースをランドリールームに割くべきか検討する必要があります。
②湿気対策が必要
ランドリールームは濡れた衣類を扱うため、湿気がこもりやすい環境です。そのため対策をしないと生乾き臭やカビなどの原因になることがあります。
これを防ぐためには、しっかりとした換気計画が必要です。
③あまり使わなくなる可能性も
せっかく設けたランドリースペースでも、ライフスタイルの変化であまり使わなくなる可能性があります。例えば、子どもが独立して洗濯物の量が減り、スペースを持て余すといったケースです。
将来の生活も踏まえて、どのように使うのかをしっかり考えておくことが大切です。
ランドリールームのレイアウトのポイント
ランドリールームのレイアウトを考える際には、いくつかのポイントを押さえることが大切です。
まずは「動線」、そして「収納」と「快適性」です。詳しく見ていきましょう!
動線の効率性と広さを考慮する
ランドリールームを設計する際に特に大切なのが、動線の効率性と広さです。洗濯家事のしやすさは、「スムーズな動線計画」と密接に関わります。家の中でどこに配置するのが便利かを、プランニング時によく検討する必要があります。例えば「天気や気候が良いときは、なるべく外干ししたい」という方は、庭先やテラスへ出やすい動線を検討してみてはいかがでしょうか?
広さについては、生活スタイルに応じた適切な面積を確保することが大切です。例えば、家族が多い場合は洗濯物も増えるため、その分のスペースを確保する必要があります。また、家族の人数や洗濯の頻度、乾燥機を使うかやどこに収納するかによって、ランドリールームに求める広さは異なりますので、事前にしっかりと考慮しておきましょう。
また、「乾太くん」などの衣類乾燥機も役立ちます。洗濯物を干さなくてもいいので、部屋干しスペースの面積を減らすこともできます。さらに、アイロンがけや洗濯物をたたむことができる造作カウンターを配置することで、作業スペースも確保できます。
収納の工夫と配置
ランドリールームにおける収納配置は、使い勝手を大きく左右します。ランドリールームの計画では「乾かした衣類を収納しやすい」ことも重要。衣類収納を兼ねたランドリールームがつくれると便利ですが、その場合かなりの広さが必要になってしまいます。
下着や部屋着、タオル類は脱衣室、洋服はファミリークローゼットなど、何をどこに収納するかを、動線を含め具体的に想定しましょう。
快適さを増すための空間づくり
ランドリールームは家事をする場所ですが、快適さを増すためには工夫が必要です。まず、照明にも気を配ることをおすすめします。自然光を取り入れる窓を設けたり、明るいLED照明を使用することで、作業もしやすく、気分も明るく保てます。
次に、通気性を考慮した設計がポイントです。湿気がこもりやすい空間なので、窓配置や風通しについてもしっかり考えておきましょう。空気の流れが良いことで、洗濯物も早く乾き、特に湿度の高い季節も快適性を保つことができます。
このように、快適さを意識した空間づくりを行うことで、ランドリールームが単なる作業場から、リフレッシュできる心地よいスペースへと変わります。快適な家事環境を手に入れるために、ぜひ参考にしてみてください。
よくある失敗例とその対策
天気や気候など環境に影響されず、好きな時間に洗濯できるランドリールームは、共働き夫婦にたくさんのメリットがありますが、実際に設置してから使い勝手が悪く失敗と感じる事例もあります。
「収納」「動線」についての失敗例についてご紹介します。
失敗例:収納不足
ランドリールームの設計でよく見られる失敗例の一つが、収納不足です。
特に、家族が多い家庭や、洗濯頻度の高い方にとって、収納スペースが足りないと大きなストレスにつながります。衣類のやタオルの他にも、洗剤や柔軟剤、衣類のハンガー、アイロンなどなど、洗濯家事に必要なアイテムは多岐にわたります。これらがごちゃごちゃになってしまうと、作業効率が低下し、さらに掃除の手間も増えてしまいます。
【解決策】
ランドリールームでは、使用する家電も含めて使うアイテムをリストアップし、収納できる十分なスペースを確保することも大切なポイントです。
洗剤やアイロンなどの道具、タオル、衣類など、アイテムごとに使いやすい収納のサイズや配置が異なります。収納スペースをつくる際は、収納したいものが全て収納できる高さと幅、使いやすい奥行きにすることを心がけましょう。
失敗例:動線が複雑
ランドリールームを設計する際に最も避けたい失敗の一つは、動線が複雑になること。動線が悪いと、洗濯物を取り扱う際のストレスが増し、家事がより煩わしいものになってしまいます。
【解決策】
家事効率を重視する場合は、洗濯機と干す場所を近くにすることをおすすめします。
洗濯機が1階なのに干す場所は2階の場合、毎回階段を上り下りする手間が発生します。家事ラク・時短を優先するなら「洗う、干す、たたむ、しまう」の動線がなるべく1直線でできるように間取りを配置することがポイントです。
また、キッチンと隣接する位置にお風呂とランドリールームを並べると、料理などの家事をしながらお風呂の準備や洗濯もできるのでおすすめです。
さらに、ランドリールーム内に洗濯物を収納するスペースを設けることで、洗濯が終わった後の片付けもスムーズに行えます。こうした工夫を凝らすことで、忙しい日常の中で家事の負担を軽減し、快適な生活空間を実現できます。
カスケの家のランドリールーム施工事例【間取り付き】
共働きが増えたことや、景観・防犯上の理由から、「部屋干し派」が増えていて、カスケの家でも室内干しやガス乾燥機の使用を前提としたランドリールームを希望される方が増えてきています。
ここではカスケの家の施工事例からランドリールームの事例をご紹介します。
平屋3LDKに広いランドリースペース
明るく清潔感があり、温かみある雰囲気のランドリールームです。
天井にはランドリーパイプを設置、収納棚は造作しました。造作棚はカウンターとしての役目も果たし、アイロンがけなどにも便利。
また、洗濯機横には底が深い流しを設置し、掃除や洗濯物のつけ置きに役立ちます。
ランドリースペース:5.79㎡(1.75坪)、3.5帖
昇降式の物干し竿と造作棚
ガス洗濯乾燥機乾太くんを設置し、洗濯物を干す手間を省けるようにしたランドリールーム。
乾太くんで乾燥できないものは、昇降式の物干し竿を付けることで室内で洗濯が完結できるようになっています。
また、乾太くんの下にスライドカウンターと引き出しがあることで、畳む→収納までがスムーズ。引き出し式なので普段はカウンターをしまってランドリールームを広く使うことができます。
ランドリースペース:4.45㎡(1.35坪)、2.7帖
洗う・干す・収納するが一か所で完結するランドリースペース
ファミリークローゼットを併設したランドリースペース。洗う、干す、収納するが一か所で完結する空間です。また、キッチンや洗面脱衣室とも隣り合う配置のため、“ながら家事”をしやすいのもメリットです。
乾太くんがぴったり納まる造作棚は、家事だけでなく奥さまのメイクスペースとしても活躍しています。
ランドリースペース:8.16㎡(2.47坪)、5.25帖
乾太くんがすっぽり収まる収納棚
水色の壁紙で明るく気分の上がるランドリールーム。
乾太くんがすっぽり収まる棚は造作、収納ボックスもすっぽりおさまります。天井にはハンガーパイプを設置し、室内干しも可能です。
ランドリースペース:4.95㎡(1.50坪)、3帖
ホテルのような仕切りのないオープンなランドリースペース
まるでホテルのような、トイレ・洗面・脱衣が一間続きのランドリールーム。壁がないので、開放感があり広々と使えます。
家電や設備品もブラックで揃え、統一感のある空間です。
ランドリースペース:7.24㎡(2.19坪)、4.3帖
アイロンをかけられる造作カウンター
洗面とパントリーの間に配置されたランドリールーム。帰宅後の手洗いや着替え、収納までがスムーズな間取りです。
ランドリールームには洗濯物を畳んだりアイロンをかけられる造作カウンターを設置。足元が空いてるので、収納ボックスを置いたり、椅子を置けば座って家事をすることもできます。
リビングとつながる内窓からは、明かりだけでなく家族の気配も感じられます。
ランドリースペース:7.45㎡(2.25坪)、4.5帖
2階廊下に4メートルの物干しスペース
室内に物干しスペースをご要望だったお施主さま。お持ちの4メートルの物干し竿がかかるよう、物干しスペースを2階に計画しました。
物干しスペースと隣り合う位置で、ウォークスルークローゼットのような使い方ができるスペースをホール部分に設計。乾いた洗濯物もコンパクトな動線ですぐに収納することができます。
ランドリースペース:8.07㎡(2.44坪)、24.87帖
まとめ
ランドリールームの失敗例と対策、レイアウトを施工事例を交えながらを解説しました。
ランドリールームは天気や時間帯の制限なく洗濯でき、忙しい共働きご夫婦にも人気の間取りですが、使いやすく快適なランドリールームにするには、湿気対策や収納、動線や作業のしやすさには注意が必要です!
ランドリールームのレイアウトは、家事の効率を高めるためにとても大切です。
日常的に使用するスペースだからこそ、使い勝手の良いレイアウトにしたいですよね。
カスケの家のランドリールームの施工事例もご参考に、理想の家づくりをしてください。