建部 綾香 ◇◇◇

地球に優しい高断熱住宅の基準「HEAT20」とは?

2023/08/24(木) 家づくりのこと

家を建てる際に気になる断熱性能。断熱性能の目安は断熱等級をはじめ、H28年省エネ基準、ZEH基準、HEAT20と複数ありそれぞれでUA値が異なります。

断熱性能にプラスして省エネ性能を求めるのであれば、複数ある基準の中でもHEAT20のG2もしくはG3がおすすめ

今回はその「HEAT20」について詳しくお伝えします!

 

contents

1. HEAT20とは

HEAT20が掲げる目的

HEAT20の3つのポイント

2. HEAT20が注目されている理由

脱炭素社会に向けた住宅のあり方

諸外国の水準との比較

3. 住宅の断熱性能とは

断熱性能の要素「外皮性能」

断熱性能の要素「UA値(単位:W/㎡・K)」

断熱性能の評価基準は複数ある

4. HEAT20認証の基準となる指標

室温

省エネルギー

UA値(外皮平均熱貫流率)

5. HEAT20の推奨水準とは

地域区分

グレード

6. HEAT20の基準内容とZEHとの違い

G1の基準

G2の基準

G3の基準

HEAT20とZEHのUa値を比較

7. HEAT20住宅のメリット

暖かく快適に暮らせる

健康改善効果がある

省エネによる光熱費の節約効果がある

結露・カビを防ぐことができる

8. HEAT20以外の断熱性能基準について

ZEH(ゼッチ)

H28省エネ基準

HEAT20・ZEH・H28省エネ基準の比較

9. まとめ

 

HEAT20とは

HEAT20とは団体名で、一般社団法人「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称となります。

HEAT20は、建築関係の組織や企業、断熱に詳しい大学教授や専門家の方々で構成。世界的に見て高いとは言えない日本の住宅性能に対して、環境問題や快適性に配慮した、高断熱住宅の基準を作ろうと動き出した団体です。

HEAT20は日本を8つの地域に区分し、それぞれの気候に適した断熱性能の基準値を定めて、G1.G2.G3という3つのグレードで評価しています。これまでもあった国の目指す基準「H28省エネ基準」や「ZEH(ゼッチ)」よりも、厳しい基準となっています。

 

HEAT20が掲げる目的

HEAT20が設立された目的は、「環境負荷の低減」「安心安全で高品質」な住宅の実現のために、居住環境の温熱環境やエネルギー性能を図る技術開発、研究調査を行うとしています。

 

HEAT20の3つのポイント

HEAT20は具体的に次の3つのポイントで、国内の住宅性能の向上を目指しています。

  • 建築的要素(断熱材・外壁・屋根・サッシなど)によって断熱性を高める
  • 設備的要素(空調機などの低燃費性能等)によって省エネ性を高める
  • 創エネルギー的要素(太陽光発電・蓄電池)によって創エネ性を高める

HEAT20が目指す健康で快適な住まいを実現するには、「建築」「設備」「創エネ」の3つをバランスよく備えることが重要です!

 

HEAT20が注目されている理由

脱炭素社会に向けた住宅のあり方

脱炭素住宅とは、省エネ性能の向上や再生可能エネルギーの活用でCO2排出量を削減する住まいのことを指します。

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。社会全体が出すCO2排出量のうち、住宅が占める割合も大きいことから、住宅の省エネ化が急務。「家を建て、暮らし、壊して、処分する」というサイクルは、多くの炭素を排出します。これから建てる住宅は、ゼロカーボンが必須となってきます。

 

諸外国の水準との比較

HEAT20が注目を集める理由として、海外と比較した際の日本の断熱性能の低さも要因となっています。 

既存の断熱基準の一つとして代表的なものが、国が定める「H28省エネ基準」。この指標で定めるUA値は、米国や欧州各国の水準を大きく下回っています。 国内の寒い地域で消費されるエネルギー量を考慮すると、基準の引き上げは必要不可欠。こうした背景からも、より国際的な水準に沿ったHEAT20は重要視されています。 

 

住宅の断熱性能とは

断熱性能の要素「外皮性能」

外皮とは、住宅の内部と外部を隔てる境界部分、住宅の外周を指します。具体的には建物の外壁、窓、床、屋根、天井などを指します。

「外皮性能」は、これら外皮の断熱性能のことで、室外の暑さや寒さ、日射の影響で熱を失わないなど、断熱性能が高いほど高評価です

 

断熱性能の要素「UA値」

HEAT20の基準では、全国を8つの地域に分け「Ua値」という数値を用いて基準値を設定しています。「Ua値」とは外皮平均熱貫流率(かんりゅうりつ)といい「どのくらい熱量が家の外に逃げやすいのか」を具体的に数値にしたもので、数値が小さいほど断熱性が高いということになります。

 

断熱性能の評価基準は複数ある

断熱性能をはかる評価基準は、HEAT20の他に「H28省エネ基準」「ZEH」が挙げられます。

 

 

HEAT20認証の基準となる指標

HEAT20では、目標とする断熱性能を実現するため、以下の3つの指標を利用しています。 

室温

室温評価における基準

  • 暖房期最低室温・・・冬期における最低室温の基準
  • 15度未満の割合・・・住宅内部で15度を下回る時間・面積の割合

 

省エネルギー

省エネルギー評価における基準

H28年省エネ基準からの削減率

既存の省エネルギー基準住宅に対するエネルギー削減比率の指標

 

H28年省エネ基準における間歇暖房時の暖房負荷に対する全館連続暖房としたときの暖房負荷削減率

既存の省エネルギー基準住宅で断続的に暖房を使用した場合と、対象の住宅で全館暖房を使用した際のエネルギー削減率の比較

 

UA値(外皮平均熱貫流率)

UA値(外皮平均熱貫流率)とは、家から熱がどのくらい逃げやすいかを数値で表したものです。住宅の壁や屋根、窓などから失われる熱の総量を、住宅の外皮の総面積で割って計算します。 

「Ua値(外皮平均熱貫流率) = 熱損失量(w/k) ÷ 外皮面積(㎡)」

UA値が低いほど、家から熱が逃げにくくなるため、断熱性能が高くなります。

 

HEAT20の推奨水準とは

地域区分

日本列島は南北に伸びた形状をしており、沖縄と北海道では気温が大きく異なります。そこでHEAT20では、外気条件をもとに日本を8つの地域に区分し、各地域に合わせてUA値やグレードの基準値を設定しています。気温が低い地域ほど求められる断熱性能が高くなります。

ちなみに8地域である沖縄県は、冬期間もそれほど寒くならないため、HEAT20では特に基準が設けられていません。

 

グレード

HEAT20ではG1・G2・G3といった「グレード」でも区別がされています。

G1が最も易しい基準で、数字が大きくなるにつれて厳しい基準が設けられています。各グレードと地域区分別に、どのような基準が設けられているのか見ていきましょう。

 

HEAT20の基準内容とZEHとの違い

HEAT20には性能によって3段階のグレードがあります。冬期間に室内での体感温度を10℃〜15℃以上保つために必要な断熱性能を基準としています。G1、G2、G3の3つのグレードがあり、数字が大きいほど高水準です。

G1の基準

北海道の大部分では室内温度がおおむね13℃を下回らない、その他の地域では10℃を下回らない基準です。

国が定める省エネ基準の住宅よりも約20〜30%のエネルギー削減効果があります。

 

G2の基準

北海道の大部分では室内温度がおおむね15℃を下回らない、その他の地域では13℃を下回らない基準です。

国が定める省エネ基準の住宅よりも約30〜50%のエネルギー削減効果があります。

 

G3の基準

「G3」は2019年に発表され、もっとも高水準のグレードです。

地域に関係なく室内温度がおおむね15℃を下回らない基準です。

国が定める省エネ基準の住宅よりも約50%以上のエネルギー削減効果があります。

 

HEAT20とZEHのUa値を比較

HEAT20住宅のメリット

暖かく快適に暮らせる

HEAT20対応の住宅は断熱性能が高く、1年を通して快適に過ごすことができます。

断熱性能が高いということは、冬場に暖房の熱が逃げにくいだけではなく、夏場は外の熱気が部屋内に伝わりづらいためエアコンをガンガン効かせなくても心地よい環境が続きます。
G2グレードでは、暖房設備のない廊下や脱衣所も13℃以上(6地域)に保つことができるなど住居内の温度差が少なく、健康面や快適性に対する大きなメリットを得られます。

 

健康改善効果がある

家庭内の事故として取り上げられることの多いヒートショック。これは特に寒い時期の入浴中の死亡事故が多く発生しています。

高い断熱性能を備え、部屋間の温度差を抑えることでヒートショックなどの事故を未然に防ぎます。

 

省エネによる光熱費の節約効果がある

HEAT20 の基準を満たした住宅では、冷暖房をそれほど使用しなくても快適に過ごせるため、光熱費の大幅な節約ができます。

とくに光熱費が高くなる夏場と冬場では、HEAT20対応・非対応の住宅ではそのコスト差は歴然です。

ちなみに、リフォームで後から断熱性能を上げるよりも新築の際に断熱性能を高くした方がトータルコストでみると割安。新築を検討している場合は断熱性能にもしっかりとこだわりることをおすすめします。

 

結露・カビを防ぐことができる

住宅の結露は木材が腐食したり、カビが発生するなど健康を害するリスクがたくさん。

結露やカビは、住宅の表面温度の低下と水蒸気が原因で発生します。断熱性能の高いHEAT20基準の住宅は、表面温度を高く保ち、結露やカビの発生を抑制できるため、ぜんそくやアトピー性皮膚炎の改善、防止などにつながることも期待できます。

 

HEAT20以外の断熱性能基準

ZEH(ゼッチ)

ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味になります。ZEH住宅は、太陽光発電による電力創出・省エネルギー設備の導入・外皮の高断熱利用などにより、生活で消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅を指します。

ZEHは、「省エネ性能」「断熱性能」「創エネ」の3つの基準で評価しています。

 

H28省エネ基準

2016年に(平成28年)に制定された「H28省エネ基準」。省エネ基準は1980年(昭和55年)に初めて制定され、以降何度も改正されてきました。外皮性能に関する基準と、一次エネルギー消費量に関する基準の2点から、住宅の省エネルギー性能を評価します。

 

HEAT20・ZEH・H28省エネ基準の比較

HEAT20、ZEH、H28省エネ基準の3つを比較すると、最も基準が厳しいのがHEAT20。そしてZEHが続き、H28省エネ基準が最も優しいといえます。

 

 

まとめ

HEAT20に対応した住宅は、冷暖房の効率が良く快適に過ごせる他、光熱費を抑えられて健康を害するリスクも減るなどメリットがたくさん。
一生に一度のマイホームですから、断熱性能にもこだわった、快適に過ごせる家づくりをしてみませんか?

カスケの家では生涯コストで考える家づくりで、高気密・高断熱で60年以上住むことができる長寿命住宅を適正価格で提供しています。断熱性の高い樹脂サッシや外張り断熱を採用した住宅でHEAT20・G2グレードの住宅を標準とし、お客様それぞれのご要望にお応えする幅広いご案内が可能です。ランニングコストを考えたお財布にも地球環境にも優しい住宅をご提案いたします。

断熱性能の高い、省エネ住宅に興味のある方は、ぜひモデルハウスをご見学ください。

 

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